【ドラマ評論】『石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~』〜刑事と官僚の正義と腐敗や汚職に見る霞ケ関〜
こんにちは、真原です。
今回は、つい先日、社会派ドラマを観たのでその感想を。
さて、Amazon Videoで視聴したのは『石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~』という、2017年にWOWOWで連続ドラマ化されてたらしい社会派ドラマです(8話完結)。また、どうやら現在、Netflixでも視聴できるみたいです。
このドラマは、
“機密費(公金=税金)”という国家のタブーに挑む警視庁捜査二課の刑事の奮闘を描いたノンフィクション(実話)”
です。
(出所:Amazon)
WOWOWには、こうした社会派もしくは経済ドラマの良作品が非常に多いんです。元々は、小説です。
(出典:Amazon)
地上波じゃないぶん、こうした「闇への問題(今回は2001年に発覚した実際の「事件」)」をしっかり取り上げて放映しています。正直、このドラマを観るまで、こういった事件があったなんて知りませんでした(当時、私も子供だったということもありますが・・・)。
そもそも「報償費(表に出せないカネだ。自分の判断で使えばいい機密費)」、「外交機密費」だとか「官房機密費(支出には領収書が不要で、会計検査院による監査も免除されており、原則使途が公開されることはない。)」だとかというのは、私たち国民が預かり知らない「官僚」や「センセーがた」が使う「税金」だということです。そんなん知らないですよね・・・。
(出典:Wikipedia)
みなさん、この事件知っていましたか?
もしくは、記憶にありましたか??
私、WOWOWの回し者じゃないですが(笑)、数年前にこのブログでも紹介したこちらの経済ドラマも非常に面白かったです。
【ドラマ評論】『メガバンク 最終決戦』(2016、波多野聖)が描く「金融庁(当局)」と「金融サービサー」の正義と納得した「付和雷同な日本人」の姿
今回の『石つぶて ~外務省機密費を暴いた捜査二課の男たち~』は、ノンフィクション作家の清武英利氏の著書をドラマ化したものです。WOWOWが清武作品をドラマ化するのは「連続ドラマW しんがり~山一證券 最後の聖戦~」以来2度目ということで、実は私「しんがり」も視聴済みです。また、そのうち評論を書こうとは思いますが・・・、「しんがり」では、山一證券自主廃業の原因を追及し続けた社員たちの闘いを描いています。
まず、キャストが非常に豪華です。
佐藤浩市 江口洋介 北村一輝 萩原聖人 飯豊まりえ
真飛聖 菅田俊 矢島健一 小野了 細田善彦
三浦誠己 石崎なつみ おかやまはじめ 清水伸 佐藤銀平
山田明郷 羽場裕一 田中健 笹野高史 津嘉山正種 佐野史郎
とそうそうたるメンバーが迫真の演技をしています。
ドラマの舞台となっているのは、2001年に発覚し、当時の政官界を揺るがした「外務省機密費詐取事件」がテーマです。
大枠のあらすじとしては、
本来の正義を全うする刑事と、巨大官僚組織(外務省とその関係省庁のパワーバランス、官僚の行動や考え方、キャリアやノンキャリア)、そして国家の聖域(=国を相手取り勝負をするということ)が見事に絡み合う贈収賄容疑と「税金の使われ方」
でしょう。
外務省にとっては、闇に葬り去りたい実際の事件ではないでしょうか?(ネタバレすると外務省だけの問題ではなく国家の問題なのですが!)
この国の官僚(キャリア、ノンキャリア)と、政治家(為政者)、さらには「刑事」と「検察」という、それぞれの「組織」がいかにこの国を運営し、良い意味でも悪い意味でも国民をコントロールしているのか?(国とは?)が如実に描かれていると感じました。
おそらく、日本をこの先の未来もより良くしていきたいという崇高な想いをもって公僕に徹している官僚や公務員の方が多いとは私自身も信じていますが(親族に公務員も多くいますし、知人友人に官僚もいます)、同時に「人」としての正義、「組織に属する人」として正義、「自分のエゴ」や「他人の庇護に取り入るため」など様々な人間模様が非常にエキサイティングに描かれています。
仕事をしていると、はたまた組織に属していると(大なり小なり、人はみな「ナニカに属している」と思いますが)、
「いったい、何が真実で、何が正義(当たり前)なのか?」
が分からなくなる時がおうおうにしてあると私自身は経験してきています。
皆さんは、どうでしょうか?
例えば、私の前職、野村證券では、当時、投資信託(ミューチャル・ファンド)の「回転売買(投信を売って買って)」というのは、「当たり前(≒社としての正義)」だと感じていました。しかしながら、世間一般や個人投資家からすれば、(儲かっていれば「正義」に賛同ですが)一度損をすれば「それは「悪」に変わる」ということでした。
まして、金融機関の親玉である「金融庁」や「財務省(旧大蔵省)」では、そういったことを見逃してきて、多くの投資家からのクレームを経て、ようやく「投資信託(ミューチャル・ファンド)の回転売買は、投資家のためになっていない」という圧力を書く金融機関にかけたのです。
正直、私は規制当局が、必ずしも「正義」だとは思っていません。
なぜなら、「経済」は、グローバルに、自由に、動き、拡大していくものだと信じているからです(=自由経済、リバタリアニズム)。
結局、当局は過度な規制や「投資家保護」という大義名分を振りかざし「自分たちを守る」だけで、本来あるべき個人投資家のメリットに繋がっているのか?ということをフィナンシャル・アドバイザー(投資アドバイザー)として、常々疑問に感じるからです。とはいえ、ルール策定をし、実施しているのは官僚、為政者や各国政治なので、その中で闘わなければいけないのも十分承知していますが・・・。
ただ、これは、金融サービスだけの話ではなく、ありとあらゆる業界で同じことが言えるのではないでしょうか?
特に、規制が厳しい業界です。少なくとも私がそう感じているのは、
・医療
・製薬
・不動産
・テクノロジー
・・・それでも、全ての業界に大小の「規制」や「圧力」がある中でビジネスをしていると思います。
今回の「石つぶて」では、その大元が「腐っていた」ことが描かれています。
つまり、「国家」が全て正しいという話ではないのです(当然ですが)。
「国」とは、「何なのか?」
も良く考えさせられました。
「国家権力」という大きな、非常に大きな「力」が、どの国にも存在していますが、歴史を学べば学ぶほど、どの時代でも「腐敗」や「汚職」が横行していることが良く分かります。そして、そういった「歴史的事実」と「為政者たちに都合が悪いこと」は、目に触れないもしくは黙認される傾向にあるということも良く理解しています。
“石つぶて”それは、ひとつひとつは小さな石ころでも、投げ続ければ敵陣に傷跡を残す、確かな武器となる――
8話完結のこのドラマですが、一話一話が非常に濃いので、もしお時間あれば是非観てみて感想を教えてください。
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