トルコのクーデター失敗とトルコリラ資産(リラファンドやリラ債券は要注意)
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最終更新日:2021/02/09
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は「新興国通貨(トルコ・リラ)」について。
トルコ・クーデーター未遂のキーはSNS
先週末(7/15)にトルコにてクーデターが発生しました。その事の発端は「WhatsApp(メッセンジャーアプリ)」で始まったとされています。
詳細はネット上で沢山の情報を拾えるのでここでは言及しませんが、エジプトの政変同様の「SNS(ソーシャルメディア)」を用いた政府転覆計画(クーデター)や政情不安の高まり、というのは今後もどこか政情不安のある国や地域では続いていくのではないかと危惧する今回のクーデター未遂でした。
きっとSNSを駆使して、上手く使いこなせばクーデターは頻発することでしょう。
クーデーター未遂とマーケット変動とリラ資産(リラファンドやリラ債券)
さて、この動きを受けて、為替で言えばトルコ・リラは急落、円高にややブレていました。
15日(金)夜のニューヨークマーケットでは、1ドル=3.04リラ前後(前日比5%超の下落)、1ドル=104円台まで円高が進行しました。
<USD/TRY 為替1年チャート推移>
クーデターが未遂に終わり、18日(月)には1ドル=106円台に軟化、USD/TRY=2.9リラ台と下げ幅を縮め、トルコの株価指数は対前日比約7%の下落、国債利回りは上昇(債券単価は下落)しています。
そして、現大統領のエルドアン氏によるクーデターに関わったとされる人たちの「粛清」が始まりました。
・24の報道機関の免許剥奪
・拘束されている軍、警察、司法関係者は9,000人近く
・大統領の最大の政敵であるギュレン氏のネットワーク(フェトフッラー派テロ組織(FETO))への関与が疑われる教育部門の国家公務員1万5,200人の職務停止、私立及び公立大学の1,600人近い学長らへの辞職を要求
など・・・
結果、さらなる政情不安と地理的不安をマーケットにインパクトを与えることになるでしょう。個人投資家(投資している人)には要注意ですが、ただでさえ運用状況が冴えない例えば、トルコ・リラ関連の投資信託(ミューチュアル・ファンド)やトルコ・リラ債券、特に野村證券マンが好んで販売してきた「割引債券(通称、ディープ・ディスカウント・ボンド=DDB)」などに悪い影響が必至でしょう。
※ウォーター・ボンド アジア開発銀行 2019年8月15日満期 トルコ・リラ建債券 /外債, 大和証券, 新興国通貨(レアル・リラ・ルピアなど), 社会貢献型
※アムンディ・欧州ハイ・イールド債券ファンド(トルコ・リラコース)/野村證券
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今後のトルコとトルコ格付け
今後、マーケットで懸念されているのは「大統領への権限集中(独裁体勢)」です。
もし仮に粛清を受けている人たちへの「死刑」制度そのものが復活となれば、悲願でもある「トルコのEU加盟は無い」と先にドイツが釘を指している状況ですが、エルドアン大統領次第というのが本音ではないでしょうか・・・。
つまり、これまで証券マンや銀行員から
「今後数年でトルコはEUに加盟するかも知れません!債券格付けも上がってきています!今、EU加盟前にトルコ・リラ資産を持っておくほうが加盟した後には信用力も高くなってリラが買われると思います!」
と、青写真を描かされて過去数年間にトルコ・リラ関連の投資をした個人投資家が多かったと思いますが、その青写真ももやは黄色信号です。
そして、少なくとも格付け会社は「トルコはネガティブですね」と見ています。
<トルコ国債格付け>
(出典:TE)
Moody’s(米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービス)は、18日にトルコ国債の格付けを引き下げる方向で見直すと発表しました。
現状は「Baa3」と、投資適格級で最も下に格付けされていますが、これが格下げになれば「投機的水準」になり「投資適格級しか投資できないルールであるファンドや基金などからの大きな売り圧力(リラへのネガティブ要因)」になってきます。
「トルコのような新興国、新興国通貨での格下げの影響」でイメージしやすいのは、2016年2月までに大手格付け会社3社が全てブラジル国債の格下げを行なったとのを想起させます。
※ブラジルの格付け見通しが「ネガティブ」に!今後の格下げ可能性で投資適格級でなくなることに!?レアルの投資信託(ファンド)や債券にはご注意を。/新興国通貨(レアル・リラ・ルピアなど)
クーデーター(政変)、地政学リスク、軍事衝突、儲かる人たち
今回のクーデーターは未遂で終わりましたが、実はこの裏では「(米国の)核爆弾」を巡る攻防もあったそうです。
エジプトの政府転覆の時もそうでしたが、必ず何かしらの誰かの意図があって起こるべくして発生している「事変」だという認識は必要だと思います。
例えば勝手ながらに、トルコ・クーデター未遂をグローバル視点で思いを馳せていくと、原油相場、イランやイラク(中東情勢)、欧州圏(EU圏)、ISIL(イスラム国)問題、それらに関わる「軍事産業とその企業の大株主」など、一連の歴史的な繋がりも見え隠れしているのではないかと個人的には思います。
ちなみに、先進国(米国、日本、EU各国)のどこもが「税金が足りない状況で、それでも増税ができない状況(財政難)」に追いやられつつあるのがここ数年の流れではないでしょうか。歴史を紐解くと、その「借金」をある意味一発で解決してきたのが(誰かが)「戦争」や「紛争」を起こすことです。
徐々に「地政学リスクの高まり」を感じる「2016年=未年」と個人的には危惧しています。
※2016年ビックリ予想(ー短期株価予測と為替予測は単なるギャンブルー)/マーケット(世界)
※個人投資家が無視できないThe Economis誌の”The World in 2016(2016年 世界はこうなる)”/マーケット(世界)
万が一そうなった場合においても、個人投資家がしておくべきなのは、歴代の欧州の資産家かしてきたようにスイスプライベートバンクなどで「守る資産運用」や「資産保全」という選択も視野に入れておく方が良い時代に差し掛かっているということでしょう。
(カバー写真:The Guardian)
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