民主党時代の経済情勢と安倍政権下でのアベノミクス
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最終更新日:2021/02/09
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は、民主党時代の経済情勢と安倍政権下でのアベノミクスというタイトルで「アベノミクスって一体何なのか?」という観点で見てみようと思います。
4月時点においても「日本株高」について再三「オカシイですよ(企業業績を伴っての株高ではなく「演出されているだけです」)」とこのブログで情報発信をし続けてきましたが、
※日本の株高は政府と日銀の虚像。その真の狙いは?/投資と社会事情の関係
名の知れた有名金融機関のアナリストの方々(マーケットのプロ)がことごとく外しているように、日経平均株価のメッキが剥げ落ち2015年末日経平均23,000円程度どころか20,000円にすら乗せていない状況です。
にも関わらず、某有名赤色銀行のアナリストは「20,000円にタッチした時には利益確定をした方が良かったと「前々から言っていた通り・・・」」と、23,000円予想をしておきながらポジショントークを変更している始末、きっと個人投資家は「前々のこと」なんて誰も覚えていないと思っているのでしょう・・・。
※日経平均株価が終値で15年ぶりに2万円台回復!(日本株に強気な方々)/マーケット(日本)
ここで先に断っておくと、公私ともに特定の政党への支持はありません。私は単に「世代間格差を是正しつつ、より健全な財政運営に加えて、日本の総和が豊かになって経済が拡大して安定的な生活を送れる」政策をうってくれる政党や政治家であれば何党であろうと良いと思っています。
安倍政権誕生前(2012年11月)から現状直近(2015年9月)までの推移
さて、2013年アベノミクス3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略)という施策が打ち出され、また4月からは日銀の量的質的金融緩和策が行われています。
そうした中「(企業業績の回復が折り込まれて株価が上昇している以上に)見せかけの日経平均株価上昇」によって、また御用聞きの日本のメディアが安倍政権の追い風報道もあり、多くの日本人や個人投資家が「あれ?日本の景気って良くなってる?」「アベノミクス効果ってあるのね」という勘違いをしているなとつくづく感じます。
その結果としては・・・
・貯蓄ゼロ世帯割合
26%→30.9%
・生活保護受給世帯数
約156万8,000世帯→約162万9,000世帯
・非正規労働者
約1,775万人(12年4−6月)→約1,971万人(15年7−9月)
と、安倍政権誕生前(2012年11月)から「数値」としては悪化の一途を辿っている訳です。
また、「春闘」といって、政権が賃上げを上場企業経営者に要求したとしてもごく一部のサラリーマンしかその恩恵は受けていないですし、実質賃金ベースでは民主党政権時代比較では増えていないというのが事実です。
※アベノミクスで年収が増えた人?(2015年夏のボーナス見通しと値上がりするモノ)/積立投資
民主党政権下よりも、アベノミクスで日本経済は豊かになったのか?
もちろん民主党政権下で経済的施策で大失敗だったと思うのは「株価対策を疎かにしたこと」そして「消費増税を決めたこと」でしょう(国際政治情勢はここでは無視します)。
「民主党政権だから国の運営が分からなかったせいだ」という声も聞きますが、当時政権中枢にいたメンバーの大半は、もと自民党出身の方々ばかりだったので「国の運営方法がわからなかった」なんてことは無いので政治の世界は不明瞭だとつくづく感じます。
さて、日本経済の豊かさすなわちGDPに話を元に戻すと、
民主党政権(2009年10−12月~2012年10−12月)
・GDP伸び率「5.7%」
・+19兆2,152億円
安倍政権(2012年10−12月~2015年7−9月)
・GDP伸び率「2.4%」
・+12兆3,715億円
んんん?
本当に「アベノミクス」の効果があれば、豊かさの指標であるGDPが伸びていくはずなのですが・・・。
そもそも「GDP比較」や「GDP600兆円へ」など実にしょうもないなと感じてしまう話ですが(分かりやすい指標として必要なので示していますが)実際に「増えていない(豊かになっていない)」ということでしょう。
※3期ぶりに日本のGDPがマイナス圏へ!実質賃金が増えないので個人消費が増えるはずもなく、それでも今後さらなる増税へ。しかし老後は確実にやってくる(現役世代からの積立投資で備えを)/投資と社会事情の関係
加えて、2014年4月からの消費増税(5%→8%)の税収部分について、社会保障費の充実に使われたのは僅か約16%程度ということのようで、残りの84%は一体どこへ?という話です(公務員の給与やボーナスが増加していますが。)
民主党政権下では、不運にも(運の問題なのか、何の因果か)、ギリシャ・ショック、東日本大震災、ドバイ・ショック、欧州債務危機など、国内外問わず数々の経済的なダメージを受けた時期と重なっていました。
一時80円台を割る超円高による輸出企業業績悪化があったものの、「円は相対的に強い通貨」だったので円ベースでの購買力が上昇し実質賃金が上昇、他の経済指標も改善=GDP伸び率寄与というサイクルでした。
一方、安倍政権下においてはスイスフラン・ショック、ギリシャ・デフォルト危機、中国株価暴落、世界株安、原油安という要因があったものの、金融緩和による世界的な株高支援がありながらもこのGDP伸び率というのが現状です。
まして、財政状況改善が見込まれないからなのか、元財務官僚がいるIMFからの圧力?なのか「日本国債格付け」も下落しています。
※格付け会社S&Pが日本国債をA+へ格下げした意味は「今後の増税+社会保障(年金)カット」〜老後への備えをいち早く〜/財政問題
増税路線継続と1億総活躍社会
株価がとりあえず上がっているし「なんとなく景気が良い感じ(とメディアも言っているし)」「(元財務官僚がいる)IMFが消費税をしないと財政的にマズいよ(さらに格下げされるよ)」という諸々を後押しに、これから安倍政権は「さらなる増税(8%→10%)」を決めてくることでしょう。もちろん消費増税をしてもほとんど社会保障の拡充に使われていないにも関わらず・・・。
それに向けて、日銀が今度はいつ追加の量的質的緩和をしてくるか?がポイントになるものの、7月が選挙なので春先で緩和をして選挙の追い風になるような流れではないでしょうか。個人投資家が高値で掴んで塩漬けになっている日本株を売り抜けるラストワンチャンスというところでしょうか。
株価が上がれば、株に投資している高齢者世帯有権者や大企業は支持に回りやすく、現政権の安定運営への布石になり、悲願の改憲、並びに増税社会保障削減路線となってくることでしょう。
※新アベノミクス(アベノミクス2.0)を発表も、当たらぬ矢を何本増やすのか?〜老後資金は自分で何とかしよう〜 / 投資と社会事情の関係
先進国で最も少子高齢化の日本において、ベビーブーマー世代が退職して65歳以上人口が多くなっていく中で、第二弾アベノミクスで言う「1億総活躍」というのは、60〜65歳で会社を退職をしても、引き続き職を探して「働け(働いて税金を落としてね)」という意味も暗に含まれているでしょう。
そして、今後は退職しても元気に働けるなら、現役年齢を引き上げて年金支給年齢引き上げ(75歳から支給という選択制)など様々な施策が打たれるのは容易に想像できます。
『もし私が政治家で今の年金制度をカタチ上で維持させるとしたら(もし年金!)』〜100歳以上の高齢者が6万人超で少子超高齢化社会の日本!〜/みんなの年金問題
今、若い世代(特に40代後半以下世代)はこれからも長い期間働けるようになるでしょうけれど、今の年金受給世代以上に資金面で厳しい現実が待ち構えているのは想定シナリオとして「退職後の年金プラスアルファ資金を積立投資(海外積立投資)」で準備しておくにこしたことはないでしょう。
何十年先「アベノミクスって良かったなぁ〜!」「安倍政権良かったなぁ〜!」「黒田日銀総裁の量的質的金融緩和、最高だったなぁ〜!」と思える日が来ることを願いながら・・・
(カバー写真:ibTimes)
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