超基礎!今さら他人は聞けない!「インフレ(インフレーション)」とは?
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金融・資産運用の用語
こんにちは、投資アドバイザーの眞原です。
今回も超基礎編。ズバリ!「インフレ(インフレーション)」と「GDP」について。
日本ではインフレとはかけ離れた経済実体が長く続いているために、恐らく今の40代後半以上の世代しか「インフレ感覚」を持っていないのでは?と思います。
インフレ=物価上昇?
「インフレ、インフレ」とここ数年はメディアも報道する傾向にあるので、耳にした事がある人が多いと思います。
そして、勘違いしている人も多いのがこの「インフレ」。「インフレ(インフレーション)」が、単なる「(継続的な)物価上昇」と思っている人は要注意でしょう。
確かに緩やかな物価上昇は、経済成長を促すのでマクロ経済ではポジティブな要因です。それでもなぜ要注意なのか?
インフレには2つの要因があるのです。
1.ディマンド・プル・インフレ
1つ目のインフレ要因は「ディマンド・プル・インフレ」です。
このインフレは、政府(≒日銀)が、人々が必要としている以上のお金を発行することで引き起こされます。
もっと言えば、より多くのお金が流通することで、私たちの一般家計や企業がお金を持つことに繋がって結果、購買力が増します。
そして購買力が増せば「需要(ディマンド)が増加する」ので、もし供給が増えなければ、モノの価格が高騰する(=インフレ)に繋がります。
これは、需要側(ディマンド)によって、物価上昇が引き起こされる、「ディマンド・プル・インフレ」と呼ばれます。
2.コスト・プッシュ・インフレ
もう1つが「コスト・プッシュ・インフレ」です。
石油や鉄鉱石などの原材料が値上がりし、供給側(小売など)の事情によってモノの価格が高騰する(インフレ)に繋がります。
もっと言えば、消費者の需要には関係なく、原材料費の高騰により生産コストが上昇し、物価が引き上げられる現象です。
これは、供給側(のコスト)によって、物価上昇が引き起こされる、「コスト・プッシュ・インフレ」と呼ばれます。
アベノミクスはコスト・プッシュ・インフレ?
どちらの「インフレ(物価上昇)」が好ましいのか?と言われれば、1「ディマンド・プル・インフレ」の方でしょう。単に「物価上昇」するだけの「コスト・プッシュ・インフレ」では、日本円資産しか持っていない人は貧しくなる一方だからです。
※超基礎!今さら他人に聞けない「円安」と「円高」そして「通貨分散」/金融・資産運用の用語
アベノミクスそのものを「コスト・プッシュ・インフレ」と見る人がいますが、実は「ディマンド・プル・インフレ」なのです。
経済学的に言えば「インフレ」は、「需給」の話と「国内総生産(GDP)」の話に分解できます。
1つ目のディマンドプル型は、総需要が増加して発生するインフレなので、企業そのものは設備投資を拡大し、生産性向上を図ります(=供給量も増える)。結果的に、物価上昇と一緒に供給量が増えます。
一方の、コストプッシュ型は、生産コストが上昇することのインフレなので、企業そのものは設備投資を抑制し、生産量を削減します(=供給量が減少する)。なぜなら、コスト高のモノを同じ量生産してもきちんと売れる(消費される)か分からないから。
つまり、
ディマンドプル型:物価↑− 生産↑
コストプッシュ型:物価↑− 生産↓
というのがそれぞれのインフレの違いになってきます。
要は「生産量」が増えたの?という点が重要ですね。この「生産量」を考えるに当たっては「GDP(Gross Domestic Product)=国内総生産=国内で新たに生産されたサービスや商品の付加価値の総額」を考えると分かりやすくなります。
<日本の実質GDP推移>
(出典:世界経済のネタ帳)
一言に「GDP」とは言っても実は2つあって、1つはこの「実質GDP」ともう1つは「名目GDP」。
「実質GDP」は「名目GDPから物価変動を除いた数値」で前年の価格から算出されるので、
この2つの違いとしては、
「実質GDP」=生産数量 × 現在価格 ÷ 物価変動率
「名目GDP」=生産数量 × 現在価格
つまりは、
「実質GDP」=生産数量 × 前年の価格
「名目GDP」=生産数量 × 現在価格
と言い換えられ「前年よりも生産量が増えたのかどうか?」を知るには「実質GDP」を見れば分かるということになります(そういうもんだと思ってください)。で、上の実質GDPを推移を見れば「一応」緩やかに右肩上がりに伸びている=企業が生産量を前年より増やしていることになり、国内需要が増加した「ディマンド・プル・インフレ」であるというのが、一応の見方です。
しかし実際は・・・、どうしたものか日本経済と私たちの老後生活
確かに経済学上で考えれば上で見たような「ディマンドプル型」なのかも知れませんが、そうは言えども実際は・・・、
・企業は積極的に「設備投資に動かない」=大して需要が増えている訳ではない(購買力が極度に上昇していない)
・「円安」によって、コスト高が進行中
・日本の家計(実質賃金)は増加していない
結果的に「コストプッシュ型インフレ(のようなもの)」になりつつある、というのが実情ではないでしょうか?
実際GDPが増加しているにも関わらず「デフレのまま」という奇妙な状況は、GDPデフレーター(名目GDP÷実質GDP×100)という指標で分かります。
<日本のGDPデフレーター推移>
(出典:同上)
この「GDPデフレーター」のポイントは、
- GDPデフレーターが100以上=インフレ
- GDPデフレーターが100以下=デフレ
- 名目GDP=価格変動ありき
- 実質GDP=価格変動なし
目下、失われた20年のデフレ経済下(経済低迷)なので、安倍首相+日銀黒田総裁が必死に「インフレ」を起こそうと躍起になっています。
2016年現在の「GDPデフレーター」は「94.99」・・・100以下です。
この「GDPデフレーター」が100以上になるには、名目GDPが実質GDPを上回る、つまり「物価が上昇、且つ生産額が大きくなる必要がある」ということですね。
一般的にデフレは経済低迷(景気後退)そしてインフレは経済拡大と考えるならば、日本はまだまだ経済低迷、それにも関わらず
「消費増税」+「社会保障費増大」+「円安(コストプッシュインフレ)」+「借金まみれ(経済成長がなければ税収は増えず赤字国債は返せず)」
さぁ、どうしたものですかね、日本経済。
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