ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
公開日:
:
最終更新日:2021/02/09
日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)やETF
国内ファンド解説
こんにちは、投資アドバイザーの眞原です。
今回はご相談が多いワールド・リート・オープン(毎月決算型)の情報です。
純資産総額が5,600億円程度なので投資している個人投資家も多く「損切すべきかどうか」と悩んでいる状況が背景にあります。
結論は、
損切りする方が賢い選択
ということです。
2015年6月時点(約1年半前)との比較
まず過去(2015年6月時点)にもご相談が多い時期がありブログでまとめているので、先にこちらから確認してみてください。
<リートへ投資している人は必見!!投資信託ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の見通しは?>↓
2015年6月時点で、
【基準価額】:4,754円(2015年6/10時点)
【純資産総額】:6,442億円
【分配金累計額】:9,500円
【分配金/月々】:70円
でした。
当時は(2014年12月時点における分配金では)まだ「タコ足分配金=元本払戻金=特別分配金」になっておらず、ファンドパフォーマンスも回復傾向にありました。
1年半経過後、現在2016年11月時点のパフォーマンス
<ワールド・リート・オープン(毎月決算型)>
【基準価額】3,066円(2016年11/3時点)
【純資産総額】約5,676億円
【分配金累計額】10,690円
【分配金/月々】70円
2015年6月との比較では純資産総額は約766億円減少し、基準価額も1,688円下落しています(約35%マイナス)。
そして、継続的に出されている毎月分配金70円のうち95%がかこのリターン部分からの取り崩し(2016年6月時点)なので、タコ足分配金(=元本払戻金=特別分配金)になっています。
「みせかけの分配金リターン」による基準価額の単なる下落要因でしかありませんね。
2015年6月から2016年11月までのあいだで分配金は17ヶ月間受け取っていますが(70円×17ヶ月=1,190円)、上でも確認したように基準価額が受け取り済み分配金以上下落しています。それにも関わらず分配金は継続して出され続けている以上、分配金は単なる「みせかけのリターン」ということです。
さて、この投資信託(ミューチャル・ファンド)の特徴は名前の通り、
・世界のREIT(上場不動産投資信託)への投資
です。
具体的なポートフォリオがこちら。
<ポートフォリオ>
国別に見るとメインは米国です。次いでオーストラリア、欧州、シンガポール、英国、日本、香港。
この投資信託(ミューチャル・ファンド)の投資する127銘柄の配当利回りは、
配当利回り:5.2%
ということです。
ただ冷静に考えて今の分配金70円を12ヶ月間(年間)出し続け、今の基準価額で算出すると(基準価額が下落せず、今の基準価額が一定と仮定した場合)約27%のリターンを年間で上げなければ単純計算上はこの分配金を出せません。
配当利回りで5%なので、残り22%部分をREITの売却益など、ファンドマネージャーのウデでリターンを上げることを目指す必要がありますが、Factsheet(運用報告書)を見る限り売買益すらも上がっていなかった状況です。
運用が上手くいっているとは言えません。
冷静に考えて「みせかけのパフォーマンス」である分配金70円/月々
分配金を出すこと自体悪いとは思いませんが、タコ足分配金(=実は純粋に投資家のリターンになっていない単なるみせかけ)はよくありません。
金融庁がなぜこれを規制しないのかサッパリ理解できませんが(普通分配金の場合は分配金を毎月出すことで税収が上がるという点もあるのでしょうけれど)、投資家自身もいい加減に目を覚まして、この「みせかけリターン(毎月分配金=リターンであるという誤った思考)」に依存する思考から脱却した方が良いと思います。
そもそも年間27%のリターン(年間の分配金額)を、ロング(買立て)のみ投資信託(ミューチャル・ファンド)で上げ続けるというのは、ほぼ不可能です。
このワールド・リート・オープン(毎月決算型)のインデックスでも参考指標でもありませんが、一般的なグローバルリートのパフォーマンス数値の参考例としてiShares Global REIT ETFの推移も併せて確認します。
<iShares Global REIT ETF>
2014年から2年という短いタームでのパフォーマンス推移ですが、1年間でも17%台、年間平均リターンで7%台後半というのが現実的なグローバルREITのETF(=ほぼインデックス運用)のパフォーマンス推移です。
ETFにも関わらず年間7%程度のリターンなので、ファンドマネージャーが運用する投資信託(ミューチャル・ファンド)のワールド・リート・オープン(毎月決算型)の配当利回りよりも良い状況です。もはやファンドマネージャーの必要性を感じません。
ましてワールド・リート・オープン(毎月決算型)が毎月みせかけの分配金を出して27%台を目指さざるを得ない非現実的な状況を踏まえると「どうしてもREITへ投資したい」という個人投資家はこのようなインデックスやETFへ投資する方が合理的です。
そしてもし分配金が欲しいのであれば年に1度や半年に一度投資しているインデックスなどを一部利益確定で売却して現金化すれば良いだけです。
まとめ:
・みせかけの分配金リターン(タコ足分配金=元本払戻金=特別分配金)になっているファンドは損切を急ぐべし
毎月のFactsheet(運用報告書)で現状のパフォーマンス推移や分配金の状況を確認できるはずです。
・比較対象を持つ(投資信託(ミューチャル・ファンド)だけではなく、インデックスやETF)
証券会社や銀行で販売されている投資信託(ミューチャル・ファンド)だけが、投資先でもなく全てではありません。上場投資信託(ETF)やインデックス投信もあります。「自分の投資が全て」「証券マンや銀行員が営業してくる金融商品が全て」とは決して思い込まずに、常に比較対象を持ち合理的な判断を心がけましょう。
・毎月分配金は非効率。どうしても分配金や年間平均リターンから取り崩すのであれば一部利益確定の売却で補うべし
確かに毎月分配金が「自動的に」証券口座や銀行口座へ振り込まれる「受け身」は非常に「ラク」で「放っておける」気持ちになりますが、そんなに甘いものではありません。なぜなら上でも見たように分配金の全てがリターンから出ている訳ではないからです。
もしどうしても分配金(=要は、投資収益から生活資金に充てる資金など)が必要であれば、受け身思考の毎月分配金ではなく投資している投資先を一部利益確定の売却を自分自身でしてそこから取り崩していけば良いだけです。
本来リターンが上がっていてそのリターンを取り崩していけば、本来の投資収益である分配金と同じ意味ですよね?(タコ足は投資収益が上がらずともそのまま分配金として出されているだけ)。
資産運用のリスクは投資家自身が全て負うので、投資家自身が何もしない「受け身」は損でしかありません。
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