シャープレシオ(効率係数)とは?〜投資信託(ミューチャル・ファンド)で運用する個人投資家は理解しよう〜
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金融・資産運用の用語
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
たまたま今日ブログ記事を書いていた際に「シャープレシオ」という基礎的な金融用語が出てきました。
これまで私のこの「K2 Investment 投資アドバイザー 眞原郁哉の海外投資ブログ」では、資産運用の基礎的なワードや定義などについてはまとめていませんでした(主な読者層は、現在既に資産運用をしていてしかもオフショアファンド運用をしている運用経験が豊富な個人投資家が多いのが理由です)。
しかしながら、個別相談にでは基礎用語の解説などのご要望も多く頂いているので、少し方針転換をしてこれから徐々にまとめていこうと思います。ブログの右下のカテゴリー欄にて「金融・資産運用の用語」を追加しているので今後、金融・資産運用キーワードについては、こちらでカテゴライズしていきます。
さて、今回取り上げる「シャープレシオ」、日本語では「効率係数」についてですが、既に日本の証券会社や銀行で投資信託(ミューチャル・ファンド)で資産運用をしている個人投資家は知っていて当然のキーワードです。
シャープレシオ(効率係数)とは?
シャープレシオは単なる指標なのですが、日本語でまとめると「リスク(上下のブレ幅=ボラティリティ)を取って運用した結果において、安全資産(リスクがゼロと仮定した資産、主には国債など)から得られるリターンをどれほど上回ったのか?」を比較できるようにした指標です。
まず、資産運用における「リスク」の定義についてはこちら↓の記事で確認してくださいね。
※資産運用初心者が抱える、5つのあり得ない誤った考え方について(その1.)/資産運用の基礎
さて、「シャープ・レシオ」、上の日本語だけでは小難しいですね、硬いですね。
個人投資家が認識しておけば良いのは要するに、このシャープ・レシオの数字が大きいほど、
「リスクの割にリターンが大きい」
「効率よくリターンを上げられている」
「(ファンドの相対比較において)運用成績の善し悪しを判断できる」
ということです。
さらにマニアックに知りたい個人投資家向けに、下で算出方法を記しますが、ほとんどの個人投資家はこれをまる覚えして、どうしても日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)で運用を考える場合に、担当の証券マンや銀行員に「このファンドとこのファンドのシャープレシオ(効率係数)はいくらずつなん?」と聞いて回るという方法で良いと思います。
シャープレシオ(効率係数)の算出方法
まずは、大半の皆さんが嫌がる公式ですが(覚えたい人は憶えましょう・・・、証券マンは証券外務員試験の時に丸暗記しましたね)、
「(ファンドの平均リターンー安全資産利子率)÷標準偏差(=リスク)」
です。
この安全資産利子率とは「何か?なぜ引くのか?」なんて質問は必要ありません(厳密にプロはそこまでの理解が必要ですが、本来個人投資家は必要ありません)。ちなみに、この安全資産利子率は、日本では無担保コールレート(コール・ローンの1種で金融機関同士が短期資金でよりとりする際の金利(=政策金利))です。
※資産運用は実践が先で、経済金融知識は同時に学ぶもの。2度と戻らぬ時間を無駄にしないための考え方
さて、具体的にAファンドとBファンドという2つの投資信託(ミューチャル・ファンド)のパフォーマンス比較をこのシャープレシオを用いて行考えてみましょう。
現状、
・安全資産利子率(無担保コールレート):0.1%
・Aファンド(リターン:10.1%、リスク10%)
・Bファンド(リターン:19.1%、リスク20%)
というパフォーマンス状況で、AとBの投資信託(ミューチャル・ファンド)どちらのパフォーマンスが優れているか?
高いリターンを上げているからBファンドが優れている?と早合点しまいがちですが・・・上で確認した式に当てはめると、
Aファンド
(10.1%ー0.1%)÷10%=シャープレシオ1.0
Bファンド
(19.1%−0.1%)÷20%=シャープレシオ0.95
確かに「リターンだけ」を見るとBファンドの方が「高く」優れていますが、実際にこのシャープレシオという指標を下に測ると「取ったリスクに対してリターンを上げている」のはAファンドだということが分かるので、実際に優れているのはAファンドということです。
また、運用期間中に金利が上昇して安全資産利子率(無担保コールレート)が1.1%になったと仮定し、各ファンドのリターン&リスク水準が同程度だったとすると、
Aファンド
(10.1%ー1.1%)÷10%=シャープレシオ0.9
Bファンド
(19.1%−1.1%)÷20%=シャープレシオ0.9
リターン&リスクが同じなので上と同じようにリターンを上げていると感覚的に感じますが、実際には無リスク(安全資産利子率)1.1%リターンを上げられる期間にリターンを上げられていないということになるので、Aファンドのパフォーマンスが落ちてきている(リスクに対するパフォーマンスが下落している)と判断できます。
ざっとまとめると、
・リターン水準が同じ場合、
取ったリスク(上下のブレ幅)が小さいほど、シャープレシオは大きくなる
・リスク水準が同じ場合、
リターンが大きいほど、シャープレシオは小さくなる
ということです。
シャープレシオ(効率係数)を用いる場合の3つの注意点
1.)比較対象の選定
上でも記載の通り、主に個人投資家がこの指標を使うときは「投資信託(ミューチャル・ファンド)」の比較で考えると思います。
ただ、投資信託(ミューチャル・ファンド)が「どの資産に投資しているか?」により、その数値の信用性が大きく変わります(値の傾向が変化するため)。なので、結局は「同じ資産に投資しているファンド同士」で比較する必要があります。
2.)比較期間や時期
「どの期間のシャープレシオなのか?」また「どの時点での算出なのか?」によっても数値が変わってきます。
3.)マイナスリターン時の考え方
投資信託(ミューチャル・ファンド)によっては、マイナスリターンになっているものもあります。この場合には注意が必要です。
というのも、リスク(上下のブレ幅)が大きいほどシャープレシオの数値が大きくなるためです。
あくまでも「過去のリターンの比較」になりますが、投資信託(ミューチャル・ファンド)においては、過去のパフォーマンスが投資すべき判断材料の大きな要因になるので、投資信託(ミューチャル・ファンド)選びに迷っている場合には、この指標を下に判断しても良いでしょう。
また海外積立投資でミューチャルファンドやインデックスファンドで積立投資をしている個人投資家も、同様にこの指標も活用できます。
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