野村テンプルトン・トータル・リターンファンドと投信販売
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は、ここのところ特にお問合せが多い「野村テンプルトン・トータル・リターンファンド」の情報です。
2015年9月にも、同ファンドについてまとめた記事があるので併せてこちらもご覧ください。
※「野村テンプルトントータルリターンDコース(毎月分配型)を解約した方が良いか?」について / 資産運用Q&A
やはり、弊社クライアントに聞く所によると、投資信託(ミューチュアル・ファンド)を担当の野村證券マンに「売却したい旨」を言っても中々売却させてくれないようです。聞いた所による背景と彼らのセールストークの一部を見てみましょう。
〜背景〜
・金融庁による野村證券を含む各金融機関への「投資信託(ミューチュアル・ファンド)の短期売買の是正」圧力。
→当然、証券会社のガリバー(長年の雄)である野村證券に矛先が向けられる訳ですが、それを野村は社内ルール化して「買ってもらった投資信託や買ってもらう投信を短期で売却しないように(投資家から売却したいという意向を受けても、それを得意の営業力で切り返して)いくら新興国のハイリスク・ハイリターンなファンドでも中長期で持つように勧めること」ということのようです。
とはいえ、2000年代前半から散々ハイリスク・ハイリターンな「毎月分配型投信」の販売を許可し、短期売買にも目をつむってきた当局ですが、数年前から「投資家保護」という大義名分で(実際は全く投資家保護でも無ければ、個人投資家の為になっていないと思いますが!)急に手のひら返しのような方針です。
結局、野村證券を始め各証券会社は「短期売買」を是正する方針に動き、導入したのがこちら。
・買ってもらった投信の売却は基本的に勧めない(売却意向を受けたら、とりあえずは止める)
・ファンド・ラップへの投資残高を増やしていく(保有残高に応じたフィービジネスモデルへの転換)
→とは言え、野村ファンドラップほど「コスト高」で非効率な投資は無いなという話です(むしろインデックスに直接投資する方がリターン良くなりますよ?)。
※ベンチマークインデックスに負けていると評判の野村ファンドラップ(バリュー・プログラム) / 野村證券
・新規組成ファンド販売の減少とこれまで販売してきたファンド販売に注力
結果、かつてのような野村證券マンのオリジナリティなセールス(営業)が必要なくなり、結局営業マンじゃなくとも今流行のロボット(AI)で良くない?ということに今後なっていくのでは?と思います。
〜セールストーク〜
何をセールストークと定義するのかは曖昧な所がありますが・・・
「まだ、様子を見ましょう」「今後、こういう指標が出ますが見通しは良いので保有しておく方が良いと思います」「これから逆張り的に、若年人口が多い新興国見通しは明るいです」「一時的に下落していますが、今投資することで逆張りになります」などのようです・・・。
結局、野村の営業力は強いので(苦笑)、個人投資家は、自分でしっかり学び自己責任の下で判断できるようになりましょう、ということです。
中には「担当者にお任せ」や「預けているから大丈夫」という個人投資家がいますがもってのほかです。自分の資産運用である以上は自己責任であって、証券マンは何も責任をとりません。「担当者任せは安心」というのは個人投資家の勝手な幻想であって、ほとんどの証券マンはあくまでも「セールスパーソン」だということを再度認識しておきましょう。
※資産運用初心者が陥る、証券会社や銀行で「任せているから安心」という勘違い / 資産運用の基礎
前置きが長くなりましたが、それでは野村テンプルトン・トータル・リターンファンドの状況を確認してきましょう。
〜野村テンプルトン・トータル・リターンファンド〜
<野村テンプルトン・トータル・リターンファンド(Dコース)>
【基準価額】11,096円(3/17時点)
【純資産総額】3,869億円
【分配金累計額】4,820円
【分配金/月々】200円
上で記した2015年9月のブログ記事当時の基準価額は13,165円、今月までに出てきた分配金は1,200円(6ヶ月分)、そして今の基準価額が11,096円と一向にリターンに結びついていないにも関わらず分配金は出され続けているのが冷静によく分かると思います。
何度も何度もお伝えしていますが、毎月の「分配金」は、必ずしも投資家にとって「利益」ではないということです。実際、この野村テンプルトン・トータル・リターンファンドの月々の分配金200円のうち75%部分は過去のファンドリターンからの取り崩しになっているにも関わらず、「高い分配金(200円)」を謳い文句に販売、運用されています。ハッキリ言って、運用下手な投資信託(ミューチュアル・ファンド)です。私なら即損切りしますね(そもそも、こんな投資信託には投資しませんが・・・)
この投資信託(ミューチュアル・ファンド)の特徴はシンプルに1つ。
・世界各国の国債(新興国を含む)、政府機関債、社債(現地通貨建てを含む)への投資
目下、ファンド運用最高峰のオフショアファンド(ヘッジファンド)運用マネージャーですら手をこまねいている「マイナス金利下の債券金利市場」において、この野村の投資信託(ミューチュアル・ファンド)が堅調な運用が出来る訳もないのは自明で、結果純粋にパフォーマンスが悪化しています。
投資先がこちら
世界の債券という謳い文句ですが、実際のポートフォリオに関してはBBB以上(68%)、BB以下(23%)の格付けで「新興国債券」がメインです。新興国くらいしか「高い金利」を出せる債券がないからですね。とは言え、新興国の為替は乱高下し続け、ブラジルレアルやインドネシアルピアなどハイリスク・ハイリターンな通貨に他なりません。
※主要国の国債格付けと2つの格付け方法(依頼格付けと勝手格付け) / 制度・規制・法律・金融政策
上位構成銘柄がこちら
当面債券市場にとっては厳しい投資環境が続くと予想されていますが、「長く投資していても上がらないファンドは上がらない」というのを良く認識して、証券マンの言いなりではなく自分の運用である以上は、損切り売却や利益確定売却は自己責任のもとでしっかりしておきましょう。
※運用目標リターン金額(年間平均リターン目標)を決めること / 資産運用の基礎
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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