香港の人口動態と香港経済と香港ドルと人民元躍進(中国化)
公開日:
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最終更新日:2021/02/09
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は「現在の香港、これからの香港、香港ドル、人民元の情報」です。
私が香港を中心に生活している事もあり、クライアントや知人、友人から香港の今後の姿やこれから香港で働くこと、香港でのHSBC香港口座開設など様々なことを聞かれる機会が多いので、その1つとして今回の情報発信をします。
香港も少子高齢化社会、これからの香港の行方
日本が世界の先進国で最も少子高齢化社会になっているのは言うまでもありませんが(それによって、世代間の年金格差が拡大し続け若者層からは年金不不安の声しか上がってきませんが)香港でも同様に少子高齢化、人口動態のイビツサが顕著です。
※特に40代以下世代で年金制度を信じられない人が老後資金を備えた方が良い理由〜GPIF(年金基金)大損の可能性〜/みんなの年金問題
<香港人口ピラミッド 2011年時点>
日本の人口ピラミッドとよく似た形であり、またインドや中国とも違います。
※インド人口が2022年までに中国を抜いて世界最大になるらしい!一方、少子高齢化が止まらない日本の2050年(今から35年後)の「人口動態と年金制度」を考えた / みんなの年金問題
上の香港の人口ピラミッドを確認しても分かるようにピラミッドがイビツな形になっている上、日本のように少子高齢化社会へ突入していくことが分かります。結局のところこういう人口の構造問題はすぐには解決しないのです。
ただ、香港が日本と違うのは「移民」受け入れに寛容な点がポジティブであり、一方「中国化」の流れになっているのはネガティブです。去る香港では学生主導で巻き起こった2014年の黄色い傘革命は記憶に新しいですが、結局のところ上の世代との折り合いが付かず頓挫した経緯がありますし、そもそも中国は歴史史上「普通選挙」なんてことを行ったことがないのにそれを「求めてデモをしても」仕方ないというのは本音のところでしょう。
それでも下で確認できるように「人口増加」があるというのは事実です。その香港の人口動態の発表がこちら。
2015年:730万人
2024年:776万人(+7%)
2014年〜2024年の10年間における香港の人口分布予想
新界エリア 約374万人→約420万人(+18%)
九龍エリア 約220万人→約233万人(+6%)
香港島エリア 約127万人→約119万人(-6%)
世代別には
若年層(40歳頃まで):「大埔区(タイポー)、西貢区(サイクン)、離島区」
高齢層:「黄大仙区、葵青区(葵涌・青衣)、東区(北角、クォーリーベイから柴湾)」
今後は新界エリアのビジネス発展があるとの予測が濃厚とのことです。
「香港」での地域別の経済格差
香港は、大きく分けると上で確認したように香港島、九龍、新界の大きな3つの地区に分かれ厳密には18区に分けられますが、実際は大枠なので厳格な括りはなさそうです。香港について詳しくない多くの人は「香港島」と「九龍」しか知らないというのが実際のところでしょう。
(出典:Google Map)
そんな地域別において香港でも「経済格差」も鮮明に起きてきているという発表がありました。
具体的には、
1.)全ての家庭の1か月あたりの所得
第一位は中西区(Central and Western地区 35,000香港ドル/月)
2.)経済活動に従事している家庭の1か月あたりの所得
第一位は湾仔区(Wan Chai、45,000香港ドル/月)
という大きな区分で、各地域と月間の所得数値がそれぞれ示しているものです。
西貢区(Sai Kung)
1.)30,800香港ドル
2.)34,600香港ドル
香港島内の東区(Eastern、1.)27,800香港ドル、2.)33,500香港ドル)
南区(Southern、1.)28,000香港ドル、2.)33,000香港ドル)
新界地区(New Territory)でも、屯門区(Tuen Mun、1.)21,000香港ドル、2.)25,000香港ドル)
そして、この新界エリアは上で見てきたように人口も増加し、経済も拡大していくようです。
この数値を見る限り日本よりも裕福だと思います(特に円安になっている以上)。
この人口動態を見ると、徐々に「オフショアセンターの香港島(Central)」から離れて、中国領土と陸続きの九龍、新界エリアに人と富が動いているような印象を受けます(中国化の促進)。私は香港人が好む好まざる関係なしに、今後は益々「香港」はいっそう中国化していくと考えています(完全に私の持論)。
※香港において、香港ドルが消滅して中国人民元が取って代わる日がいずれ来る?/HSBC香港・海外口座活用
それでも中々揺るがない「香港=オフショア金融センター」の地位
金融の歴史を分かっている個人投資家、HSBC香港の発祥、歴史的な役割を考えると「そう簡単に香港がオフショア金融センターの地位を明け渡すことはないし、そうすることはできない(中国共産党にとってネガティブ)」と思います。
※舛添都知事は「オフショア」をご存知ですか?国際金融センターを日本橋へ、そして「アジアの拠点」奪還を目指す、との考えに物申したい。/制度・規制・法律
例え、仮に香港ドルが消えてしまっても、中国の完全なる一部になったとしても(むしろなった方が良かったり?)、オフショア金融センターというウマミを中国共産党が単にオイソレと潰すような馬鹿な事はしないというのがコンセンサスです。結果、形を変えてまででも「オフショア金融センター」の地位を守ろうとするでしょう。
日本の少子高齢社会よりもまだマシというのが香港です。一国二制度(2047年まで維持)という後ろ盾はあるものの、そのタイミリミットは32年間しかなく、それまでの間に22年に人民元が香港ドルを吸収する(香港ドルの消滅?)、など計画的に香港の変革が進められています。
上のブログで確認したように2047年の日本人口動態も大変な状況ですが、香港もターニングポイントが迫っているというのがよく分かります。
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