預金流出が止まらないギリシャ!デフォルト間近で「預金封鎖」の前兆も!そういえば日本の銀行は大丈夫ですよね?
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最終更新日:2021/02/09
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こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は「ギリシャ財政問題」と「預金封鎖」について。日本時間の2時頃にロイターが『ギリシャの銀行から3日間で20億ユーロ(2,800億円)が引き出される』というニュースが報じられています。
ギリシャ国内の銀行で預金流出が相次いでいる訳=ギリシャ国民の将来への不安視
いわゆる「銀行取り付け騒ぎ(預金者が銀行に大挙して押し寄せて自分の預金をわれ先に引き出そうとする行為)」の前兆とも取れる動きです。ギリシャ国内ではずっとこのように預金引き出しが続いていますが、その背景にあるのは今月末でギリシャがデフォルトするかも知れない?というギリシャ国民の『不安心理』があるからです。
銀行取り付け騒ぎ(預金流出が続く)になるとどうなるのか?
3日間(15〜17日)で20億ユーロ(2,800億円)の預金流出が「多いのか」「少ないのか」と考えると、めちゃめちゃ多いです!この額は今週ECBがギリシャの銀行に対して緊急流動性支援で供給した金額の倍にあたります。では、そもそもなぜギリシャ国民は自分の預金を引き出しするのでしょうか?
ギリシャ国民として考えると、
仮にギリシャがデフォルト(債務不履行)する→ユーロ圏から脱退せざるを得ない→ギリシャ国民それまで使っていた共通通貨ユーロがギリシャで使えなくなる→デフォルト後はギリシャの自国通貨ドラクマに戻る→デフォルトしたギリシャの通貨ドラクマに対して国際的な信用度は低いよってドラクマの価値が暴落、ハイパーインフレへ・・・。
となれば、われ先に貨幣価値が高い「ユーロ」のまま持っておいて他国へ移住するなりが、まだ可能です。正直、このような形でユーロ圏から脱退する(した)国が無いので、どういう風にしてドラクマへ戻すのか?という明確なルールが見えないので、デフォルトした時の出たとこ勝負というイメージですね。
ギリシャ政府(古代ギリシャ時から)は、債務返済のために高い率の「預金税」を課してくる可能性も否定できないので、なおさらギリシャ国民が預金を引き出している状況でしょう。また、この預金流出を受けてECB(欧州中央銀行)が「次の月曜日(6/22)にギリシャの銀行は営業できるか不確かだ」という見解を出しています。
銀行取り付け騒ぎ後は、預金封鎖へ
銀行のバランスシートを確認してもらえれば分かりますが、実は銀行は「お金(現金)」を持っていません。(後ほど記述)
なので、預金者が銀行へ殺到し預金を引き出そうとすると支払えない銀行は、1日あたりの預金引き出し額を制限する必要が出来てきます(=預金封鎖)。預金者(国民)からすれば「オイオイ!何で自分のお金を引き出すことができへんねん!」と思うでしょうが、それが現実です。
2年前、キプロスという国で預金封鎖が行われたのは記憶に新しいですね。
ギリシャの場合、20億ユーロ(2,800億円)が3日間で引き出された訳ですが、ギリシャの総預金残高がおおよそ970億ユーロを割り込むと、銀行の破綻、連鎖倒産、金融システムそのものへのダメージに繋がってくるようです。なので、そうならないように預金流出に歯止めをかけたい銀行側と、未来が不安で預金を引き出したいギリシャ国民のせめぎ合いが行われている状況です。
果たして6/22(月)までにギリシャ政府とEU圏の債権者団たちが政治的な「折り合い」を付けられるのでしょうか・・・日本時間の夕方〜今晩(夜中)、週末の政治的な動向には注意が必要です。
ところで、日本の銀行が取り付け騒ぎや預金封鎖をすることってありえるの?
さて、ギリシャの債務問題と世界一を誇る日本の赤字国債(債務問題)を同一視してはいけない!という論調から「日本は大丈夫〜♪」という楽観論も多いですが、果たしてそうでしょうか?
もし仮に日本に当てはめた場合、私が思うのは「日本国債暴落(金利急騰)」や「ハイパーインフレ」というリスク以前に「金融システム破壊リスク」すなわち、今のギリシャ国民が行っているような「銀行取り付け騒ぎ(預貯金引き出し殺到)」と「預金封鎖」リスクが高いと考えています。
1.)日本人の付和雷同性
「あの人がやっているから」「お隣さんがやっているから」「みんながやっているから」という横並び主義が強い日本人気質は一気に預金引き出しに走るリスクが高いでしょう。(かつての石油シュック危機でトイレットペーパー買い占め、3.11後にコンビニやスーパーで買い占めが行われたことは参考になります)
2.)預貯金の大半は退職者世代(60代以上)が持っている
(今のマスメディアがどこまで報じるか分かりませんが)仮に取り付け騒ぎなどが起こった場合には、ワイドショーなどのTVや新聞媒体をよく見ていて将来への不安から預貯金をしている退職者世代がもっとも敏感に反応するニュースです。結果「われ先に!」というリスクは高いように思います。
そうは言っても「メガバンクだから大丈夫!安心、安全でしょ!?」という、甘い感情的な考えについて
それでは実際に日本のメガバンクの一角(三井住友銀行)のバランスシート(単体)を見てみましょう。
財務諸表上、銀行のバランスシートは一般事業会社のバランスシートとは異なっています(細かいことは割愛します)。見てもらいたい箇所に赤丸を付けていますが、簡単に見るため下記のように考えてみましょう。
資産の部
(現金預け金)22,371,159
(有価証券(国債))27,985,221
負債の部
(預金)81,241,588
「負債の部・預金」は81兆2,415億円ですが「資産の部・現金預け金」は22兆3,711億円しかありません。みんなの預金は「貸出金(融資)」や、有価証券(日本国債)に回されているので、実際に銀行に現金はないということですね。まして昨年24年度は6兆1,000億円しかありませんでした。今期は各銀行が国債を売却して現金預け金を増やしたことになります。どの銀行も「現金」は少ないのです。
仮に日本で銀行取り付け騒ぎが起こるとメガバンクを始め銀行は現金確保のために「有価証券(日本国債)売却」や「貸出金(融資)の貸し剥がし」に走らざるを得なくなります。簡単に日本国債を売却できる訳もありませんが、そういうリスク回避のために日銀が各銀行に対して国債を担保にして無制限に資金を貸し出す「補完的貸出制度」という制度を設けています。が、各銀行が一気にこの制度を使うと日銀が全てを引き受けられるのでしょうか??
こうした直近の資金フローなどを考えると、日本の銀行(メガバンク)も「金利急騰リスクへの備え」以外に、万が一の「預金取り付け騒ぎ」や「預金封鎖対策」の一貫として急ぎ現金の確保や赤字国債の売却に動いているのか?と勘ぐってしまします。ギリシャの例は極端かもしれないものの、現実に起こりえることなので「資産分散」つまり、国内と海外(オフショア)、銀行・金融機関の分散、通貨の分散、など「卵を一つのカゴにもらないように気をつけろ!」と今のギリシャ危機が日本人に教えてくれているような気がします。
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