Brexit後(英国のEU離脱後)ワールドリートオープン(毎月決算型)の見通しはどうなる?
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最終更新日:2021/02/09
資産運用の基礎、Q&A、基礎用語
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は、ご相談が多い「ワールドリートオープン(毎月決算型)」の情報です。
<Q.>(2016年6月末時点)
「ワールドリートオープンに投資していますが、英国のEU離脱後の(今後の)見通しはいかがでしょうか?」
<A.>
即刻、損切りをオススメします。
理由は、「先々の見通し云々ではなく運用が下手だからです」。
まず、2015年6月時点で私が「ワールドリートオープン」についてまとめているブログ記事があるので、ファンドの商品性や当時のNAV(基準価額)などから確認してみてください。
※リートへ投資している人は必見!!投資信託ワールド・リート・オープン(毎月決算型)の見通しは?/資産運用Q&A
2015年6月当時、
【基準価額】4,754円(2015年6月10日時点)
【純資産総額】6,442億円
【分配金累計額】9,500円
【分配金(毎月)】70円
非効率な運用の典型である毎月分配型なので、2016年6月末までに分配金を910円(13ヵ月×70円)を受け取り続けているものの、それ以上に基準価額が下落しているのが理解できます(投資家のリターンになっていないにも関わらず分配金は出されている)。
つまり、毎月の分配金はリターンの見せかけに過ぎず(実質毎月70円の分配金のうち92%部分は過去のリターンからの取り崩し)ファンドのリターンが良いから分配金が出ているのではなく、単に投資元本取り崩しになっているだけに過ぎません。
そして、現在の状況がこちら。
<ワールドリートオープン(毎月決算型)>
【基準価額】3,554円(2016年7/1時点)
【純資産総額】6,219億円
【分配金累計額】10,410円
【分配金(毎月)】70円
上で確認したようにファンドの運用は下手でパフォーマンスが上がっていないにも関わらず、純資産総額が6,000億円台とメガファンド級なので(2015年6月時点より200億円減少していますが)、正直この現状をあまり分かっていない個人投資家が証券マンや銀行員の「甘い分配金セールストーク(毎月70円、分配金利回り25%です(=年間910円の分配金/基準価額3,554円))」に乗せられて投資している現状が想定されます。
このファンドの現状では、2004年の運用開始から12年間の運用で年間平均リターンは2.7%程度しかありません(2015年6月時点では約3.2%でしたが更に下落)。1年経過して毎月分配金はタコ足化しています。
冷静に考えて運用開始から年間平均リターンで2.7%程度の投資信託(ミューチャル・ファンド)が「分配金利回り25%」というのは「200%あり得ない」でしょう。
また、Brexit(英国のEU離脱)の影響ですが、もちろん「USD/JPY」「GBP/JPY」「EUR/JPY」などの為替推移は大いに関わってきますが、そもそもこのワールドリートオープンが、どのような国のリート資産で運用しているかによって運用状況が変わってきます。
ファンドのポートフォリオ(業種別、国や地域別)がこちら
ポートフォリオを確認して分かるように、米国61.9%、オーストラリア10.9%、英国5.1%、カナダ4.5、ユーロ圏3.8%、シンガポール3.8%、日本2.8%、香港1.5%、現金など5.6%という比率です。
つまり、もし証券マンや銀行員にこのワールドリートオープンの基準価額の下落の理由を尋ねて「Brexitの影響(英国やユーロ圏の影響)で下落しています」なんてトンチンカンな説明を受けた場合は大間違いでしょう。このファンドの基準価額の変動な米国からの影響(60%)によるところが大きいからです。
運用報告書に記載されていますが(このファンドを販売している証券マンや銀行員もちゃんと目を通していないでしょうけれど)この投資信託が保有している銘柄や比率がこちら。
(出典:運用報告書(全体版)第130期〜135期)
今回のBrexitの中心とされるユーロ圏と英国の比率を合せても全体(5,900億円~6,200億円)のうちの10%程度(607億円程度)です。
ちなみに、このような「投資信託(ミューチャルファンド)の今後の見通しは?」ということを証券マンや銀行員に尋ねる個人投資家が散見されますが、それは彼らに「先々のマクロ経済動向」を説明してもらうことにしか過ぎず、このファンドの状況やパフォーマンス推移について尋ねていることに必ずしも直結していないのには注意が必要です。
なぜなら、実際に運用しているのこの投資信託(ミューチャルファンド)のファンドマネージャーであって(彼らは見通しは運用者なので分かっています)、販売している証券マンや銀行員がこのファンド運用の先々の状況(見通し=彼らの見通しはマクロ経済であって必ずしもファンドの見通しではない)を言い当てることなんてできっこないのですから!(ファンドマネージャーから直接情報を得ている場合は別。また、彼らが自分たちで推奨して売買する株式投資については別)。
※営業を受けたがる受動的な投資家(消費家)と自分で考える能動的な投資家の違い/資産運用の基礎
また、ワールドリートオープン(毎月分配型)に投資している個人投資家の中には
「Brexit後、株式や為替も一旦落ち着いてきたし、このファンドも中長期で投資していれば基準価額は戻ってくると思います」
のような説明を証券マンや銀行員から受けているようですが、そもそもファンドの運用自体が下手(パフォーマンスが上がっていないにも関わらず、毎月の分配金を出し続けている以上)なので、個人投資家にとっての純粋なリターンに繋がるハズがありません。
※相場が良くとも悪くとも「買い推奨」の証券マン!もしアナタが「資産運用初心者」なら迷わず「積立投資」をすれば良い/野村證券物語
このファンドに関しては、Brexit以前の問題です。
投資アドバイザー
眞原 郁哉
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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