一万円札8年ぶりの増刷とタンス預金の増加はマイナス金利が理由?〜マイナンバー制度と資産フライトの関係性〜
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最終更新日:2021/02/09
気になるホットニュース(妄想・制度・規制)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
数日前にNHKなどでニュースとして流れていましたが、1万円札が8年ぶりに増刷されるそうです。
NHK(国内の報道)では、
金融関係者の間では
”低金利で「タンス預金」増などが背景” との見方も
との報道(読売新聞も同じく)でしたが、個人的には「オイオイ!そもそも低金利は最近始まったことじゃないし、「金融関係者」って曖昧な表現なんやねん!」と思わず突っ込まざるを得ないなと思いました。要因はもっと他にもあるはずです。
国内の報道では、日銀が導入した「マイナス金利」の影響から、預貯金を引き出している預金者が増えていて、彼らがタンス預金をしている結果、一万円札の増刷が決まった、というような流れで伝えたいのでしょうけれど、果たしてそうなのでしょうか?
まず、「タンス預金」や「1万円札需要」が増加していることは、1月に日銀がマイナス金利を決めてから、2月時点で海外メディアでも報道されています。
ちなみに日本の現金・預金は890兆円(=100 trillion yen)で、2015年に10,000円札の発行数が6.2%増加して2002年以来となっているそうです(※家計全体の金融資産は約1,690兆円)。
こちらもBloomberg記事からの抜粋ですが、
冷静な海外メディアが伝えている1つの理由としては、1月から始まった「マイナンバー制度」も挙げています(もちろん後述でマイナス金利についても述べている)。
確かに冷静に考えると国をあげてマイナンバー制度を推進している中で、例えばNHKなど国内の報道が声を大にして「マイナンバー制度の為に、預貯金を引き下ろしてタンス預金が増えています」とは積極的に報道できる訳がありませんね。
なので結局一連の流れを汲むと、複合的な要因から今回の1万円札増刷が決まったと考える方が妥当です。
具体的には、
1.)マイナス金利対策
現状、預金者の口座からのマイナス金利負担は無いものの、今後その可能性を見越して引き出しておこうという心理が働いていると思います。
※日銀、「マイナス金利」導入へ〜黒田日銀総裁は日本経済の救世主か破壊者か?〜 / 制度・規制・法律・金融政策
2.)マイナンバー制度+相続税厳格化
マイナンバーと銀行預金口座のひも付け前に資金を引き出しておこうという心理が働いていると思います。
※さぁ10月!いよいよ「マイナンバー」通知開始!〜資産把握≒増税+デノミ+預金封鎖への道〜 / 制度・規制・法律・金融政策
3.)外国人(インバウンド)の外貨からの兌換需要
2015年は1,973万7千人(対前年比47.1%増)の訪日外国人旅行者数とインバウンド需要が日本の内需を支える構造になってきていますが、特に中国人が使う銀聯カード(Union Pay)に対応していない、もしくは日本的な現金主義によって、外貨からの兌換需要も高まっていることも要因だと思います。
※中国が銀聯カード(Union Pay)による海外での現金引き出しを年間10万元へ制限〜国家(通貨)を信じるリスク、日本や日本円は?〜 / 日本人海外居住者の資産運用方法
などが要因でしょう。
そして今後、仮に「マイナス金利」や「マイナンバー制度」に敏感になる個人が増加して、ますますタンス預金が増加した場合に想定しうる事としては、
・金庫が飛ぶように売れる、空き巣が増える、セキュリティ会社の株価も軒並み上がる
・「日本円」を信用しない、もしくは銀行に預けていてもゼロ金利と割り切る個人投資家による、金投資(金需要)が増加する
・マイナンバーと銀行口座のひも付けを嫌う個人が増加し続ける場合(最悪なケースでは)銀行預貯金の取り付け騒ぎ→預金封鎖懸念の高まり
などが挙げられると思います。
実際、最後に挙げた「マイナンバーと銀行口座のひも付けを嫌う個人が増加し続ける」というのは事実で、HSBC香港を始め海外銀行口座を開設する個人も増えていますし、5,000万円以上を国内の銀行に預けている個人はスイスプライベートバンクやシンガポールのプライベートバンクに資金を移している(資産フライト)させている場合もあります。
今後の「マイナス金利」適用がどこまで拡大するのか(個人預貯金口座まで拡大するのかどうか)?
はたまた、マイナンバー制度によって具体的にいつから銀行預貯金とマイナンバーがひも付け開始なのか?
日本に住む個人(個人投資家)にとっては、このような動向は決して目を離せないでしょう。
(カバー写真:NHK)
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