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金融安定に重要な銀行番付でJPモルガンが首位で次点にHSBC、邦銀は10位圏外。正直、日本国債暴落リスクよりも怖いのは金融システムの破壊リスク。

こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。

去る4日に米財務省金融調査局(OFR)が「金融安定のシステム上重要な銀行番付」なるものを発表しました。その上位10行の半数を米銀が締め、日本人が安全、安心、潰れることはない重要なメガバンク3行と思っている、三菱東京UFJ、みずほ銀行、三井住友銀行などはグローバル金融機関で10位以内には入っていないという結果です。

システム上重要な銀行番付

上から10行の番付がこちら

Screen Shot 2015-08-05 at 23.01.37(出典:OFR)

潰してしまったら金融システムが大惨事になって実体経済に悪影響が出るから「大きくて潰せない銀行」というのが世界的な取り決めであるのはよく知られていますね。一応、その中にはメガ3行の邦銀も入っていますが、それとは別にこのような番付が出されています。

なぜ今回この番付を取り上げたのか?という理由ですが、この「大きくて潰せない銀行」は、新バーゼル規制という世界的な銀行資本強化規制(要は資本の積み増し)を要求されることになっています。その達成具合が定期的に発表されていますが、それに託けて、例えば日本の銀行は「劣後債」や「バンクローンファンド」「ハイブリッド証券」なるものを新規販売しているという背景があります。

例えば、↓

※『日興AMオフショア・ファンズ 外国籍インデックスファンドUSバンクローン100 米ドル建て毎月分配型/資産成長型/SMBC日興証券』

個人投資家からすれば運用の観点からは「大きくて潰せない銀行」なんて正直どうでもよくて、投資先の運用パフォーマンスが相対的に良いのか悪いのか、はたまた自分の考え方に合っているのか合っていないのかという点で考えなければいけません。正直、これらバンクローンファンドの運用パフォーマンスのほとんどは時間的な費用対効果に全く合っていないファンドなので、今後も同じようなファンドが何度も繰り返し新規募集販売されると思いますが投資を考える場合には注意しましょう。

この番付で2位に位置しているHSBCグループです。

つい先日もHSBC香港銀行口座と同じHSBCグループのHANG SENG BANK口座開設サポートを香港でしましたが、実は今のHSBCの経営状況に関しては、皮肉なことにグローバル展開(「大きくて潰せない規模まで拡張」)した結果、世界的に「コスト増」となり規制に対応するためにも、また収益を上げるためにも世界的規模でリストラクチャリング(部門売却や人員削減)をせざるを得ない経営状況になっています。一方のHANG SENG BANKは地に足を付けた経営によって「世界最強銀行1位」に選出されたばかりです。

※「世界の最強銀行」番付に香港のHANG SENG BANK(ハンセン銀行)が選ばれる!海外銀行口座として開設増加中。 / HSBC香港口座活用

日本国債暴落リスク以上に銀行システムの破壊リスクが怖い

少し話がそれますが、銀行の重要性を述べる時に必ず紐付けて述べないといけないと思っているのが「日本国債の暴落」について。

何度もこのブログで述べていますが、日本国債が暴落しようがしまいが正直どうでもよくて(「暴落すると考えている人は、それに備えるべく海外銀行口座に資産を一部移しておく、ハイパー円安に備えてオフショアファンドなどの外貨資産にしておくという選択は「個人が出来うる自由であり対策である」ため、要はするかしないかはその個人の自己責任に基づく判断」であるため)、何よりも備えておくべき想定しておくべき「リスク」は金融システムそのものが破壊されるリスクです。

私は学生時代から「マクロ金融」ならびに「銀行論(金融システム論)」学問上で学んでいるので、その金融システムの破壊や破壊的なダメージが起こると、世界的にまた個人投資家に対して多大なるダメージがあることを認識しているからこそ敢て強く言えます。

ちまたでは「国債が暴落する(!?)」という言葉のみがひとり歩きしていますが(そういう心配も聞きますが)「国債が暴落する」とはどういう意味なのか?という事まで分かっている個人投資家は少ないと思います。「暴落=激しい下落」なので、国債の単価が下がると同義ですが、同時に「金利が跳ね上がる」ということも同じ意味です。

金利が跳ね上がるとどうなるか?もちろん銀行が抱えている国債の単価は下落、同時に銀行が貸し出している融資に対する返済金利も上昇、すなわち中小企業の返済が困難になる可能性の高まりと融資の焦げ付きや企業デフォルトの高まりなどが付いてきます。これが「金融システム」そのもののへの悪影響です。

なので、こうならない為にも国や銀行はあれこれあの手この手を打って「金融機関(金融システム)」を守ろうとするのです。その反面教師としては直近のギリシャの対応は、日本人個人投資家にとっても1つの学びになるのではないでしょうか。

※ギリシャでは預金者の銀行預金EUR8,000(約110万円)以上あるうちの30%を強制没収を計画中。連鎖倒産の防止へ(預金税?)1946年の日本での預金封鎖+預金税(強制徴収)と同様か?/財政問題

普段何気なく使っている銀行ですが、グローバル経済(各国の金融システムが強固に蜜に繋がっている世界)である以上、このような些細な番付がどういう意味をもっていて、規制対策によって金融機関が対応していて、個人投資家にどのような影響があって、想定されうることはどういうことかなど、様々考えを巡らせることができますね。

(カバー写真:Bloomberg)



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    • 眞原郁哉

      兵庫県神戸市出身。

      同志社大学商学部(マクロ金融専攻)卒業後、野村證券入社(リテール営業)。その後、K2Holdings(K2Investment/K2Partners)に参画。投資アドバイザーとしてクライアントにより客観的にマクロ/ミクロ経済を踏まえて資産運用の情報発信、コンサルティングできることにやりがいを感じています。

      趣味はジム(筋トレ)、哲学、遺跡(世界遺産巡り)、旅行、映画、ネットサーフィン、珈琲、陰謀説の妄想。本格的に筋トレを開始してから、ほとんどお酒を飲まなくなりました。近いうちに格闘技(KravMaga)を開始したい。

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