ブラジルの格付け見通しが「ネガティブ」に!今後の格下げ可能性で投資適格級でなくなることに!?レアルの投資信託(ファンド)や債券にはご注意を。
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最終更新日:2021/02/10
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は新興国通貨(ブラジル・レアル)についてです。
ブラジル国債の見通し引き下げ
去る28日に、米格付会社S&P(Standard&Poor’s)が、ブラジル国債見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に引き下げました。
自国通貨建て、外貨建て共に「ネガティブ」に引き下げられました。現在の格付けは「BBBマイナス」ですが、いわゆる「投資適格級」として最低水準でこの最低水準の中で見通しが「ネガティブ」なので『向こう1年から1年半の間に格下げが行われる可能性があり』というアナウンスです。
S&Pによる指摘では、
1.)ブラジル国内の政治、経済の両面で困難に直面している
2.)政治家や企業の相次ぐ「汚職捜査」
が、ブラジル国債(信用)見通しの重しになっているとのこと。
結果、為替水準は反応してBRL(ブラジル・レアル)はUSD(米ドル)に対して約2%急落して、12年ぶりの安値水準を付けているという状況です。
<USD/BRL 5日チャート>
<USD/BRL 20年チャート>
ブラジルレアルは対米ドルで2002年以来の安値に沈んでいます。
これを受けて、ことごとくブラジル関連の投資信託(ミューチャル・ファンド)のパフォーマンスも下落しています。例えば、大和証券から販売されているブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)などです。
仮に、今後S&Pによる格下げが行われるとどうなるか?
そもそも「投資適格級」とは格付けが「Baa以上やBBB以上」と格付けされた債券のことで、日本人投資家が証券会社や銀行で投資している債券型の投資信託(ミューチャル・ファンド)のポートフォリオに組み込まれている債券などです。
仮に今後「格下げ」があると、投資適格級ではなくなる、つまり「BB以下(S&Pの場合)」になるので「投機的格付債」=「ハイ・イールド債券(ジャンク債)」となります。結果、元本割れの可能性が高くなり(その分、利回りは上昇する)オフショアファンド(ヘッジファンド)などのプロ向けの債券になるということです。
となれば、日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)の中には、運用の取り決めである目論見書上「投機的格付債」への投資(保有)が出来ない場合が発生するので、その投資信託にとってはネガティブな要素になってくるということです。格付けが全てではないものの、実際に為替が2%急落をしている点などを踏まえると備えておくにこしたことはないでしょう。
また、他の各格付会社(Moody’sやFitch)の格付けレーティングは「BBB(ネガティブ)」ですが、投資不適格級の2段階上で維持されているので、いち早くブラジル経済や今後の動向に懸念を示したのがS&Pということのようです。
ブラジル・レアルに向かい風の、米ドル利上げ観測
早ければ9月利上げが濃厚な米国の利上げ観測ですが、それを折り込むような形で既にレアルを始め新興国通貨(トルコ・リラ、南ア・ランドなど)からも資金が逃げ出し米国(米ドル)へ回帰しています。この流れは当面続くと予測されているので、12年ぶりの安値を付けているブラジル・レアルにとって引き続き向かい風になるのは容易に想像できます。既に本ブログでは5月時点で新興国通貨関連のファンドや債券の売却は情報を流しているのですが・・・。
※『米国利上げ前!新興国通貨(ブラジルレアル、インドネシアルピア、トルコリラ、南アランド)ショックに備えあれば憂いなし!/マーケット(世界)』
まずは「売却(利益確定or損切り)」は確実にしましょう。
「投資したらずーーーーーーっとそのまま置いておけば(投資しておけば)良いや。」というような考え方をしている日本人投資家は気を付けましょう。そもそもレアルなどはリスクが低く安定した投資先ではありません。レアルを始めとする新興国関連の投資信託(ミューチャル・ファンド)や新興国通貨建て債券(特に野村證券や一部ネット証券などで販売されている、ディスカウント債券(割引債))はハイリスク・ハイリターンな部類です。
米国「利上げ」という嵐の前の静けさをやり過ごし、利上げ後にガラッと変わるグローバル経済に対してグッと堪えられるように、レアル関連などの新興国通貨については順次見直しをしていきましょう。
(カバー写真:REUTERS)
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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