楽天(4755)、公募増資で1,880~2,000億円を調達!想定水準までの下落。株価「希薄化」の意味とは?
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最終更新日:2021/02/10
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回のブログ記事のカテゴリーはマーケット(日本)。
日経新聞報道でもあったように、東証一部上場の楽天(4755)が今年最大規模になる公募増資(1,880~2,000億円)を発表しました。正式なOM(目論見書)が主幹事の大和証券のホームページ上にもアップされていないので、精緻な情報はそちらで確認してもらうことに譲るとして、今回の増資のポイントを抑えてみます。
・調達金額:1,800~2000億円(国内:753億円、海外:1,126億円)
・発行予定新株:9,960万株(発行済み株式数の7.5%にあたる)
・発行目的:2015/7末に償還を迎えるCP(コマーシャル・ペーパー)などの借入金の返済に1,696億円を充て、残額は「楽天市場」の設備投資に使う。
企業がこのような公募増資(PO)で資金調達をする際にはその理由や目的が重要になります。というのも、新たに株式を発行することは既存株主に対してある意味で迷惑を掛けることに繋がるからです。(株価の「希薄化」)
この「希薄化」について考えてみます。
例えば、仮に今回の楽天のように下記条件の企業が増資(PO)したとします。
条件:
年間100億円の純利益(不変)
現在発行済み株式数:100万株
この際の1株あたりの純利益(EPS)は、100億÷100万株=1万円
つまり、1株に対して1万円の利益を上げている企業ということになります。
これを、PER(株価収益率)という指標で考えると、RER15倍と評価されていると仮定した場合、この企業の株価は1万円×15倍=15万円というのが適正な株価水準と理論上は言えます。
ここから増資(PO)をした場合、発行済み株式数のうち20%にあたる20万株が新たに発行されるとすると増資後の株式数は100万株+20万株=120万株になります。
となれば、1株あたりの純利益(EPS)は、100億円÷120万株=8,334円となり、先ほどの1万円から「希薄化」することがわかります。同時に理論的適正株価水準のPERは、EPS8,334円×15倍=125,010円と低くなります。
つまり増資(PO)は発行する株式数の増加によって1株あたりの利益が小さくなるので株価が下落することに繋がる、という訳ですね。
よって、個人投資家が考えないといけないのは、将来のEPSがどのようになるか?という点です。
仮に純利益(上の例は100億円で変わらない前提でしたが)が増加した場合は問題ありません。
POで20%が希薄化したとして純利益が40%増加した場合には、EPSは(100億円×140%)÷120万株=11,666円となるので、PO前よりもEPSが増加します。これはこの企業に投資している個人投資家にとってはポジティブな増資です。
<楽天(4755)6/4 1日チャート>
本日の楽天(4755)の前場の推移です。東京マーケットが開くと当時に増資(PO)懸念から売りが多く一時7%安まで下落、昨日の終値から6%程度売られて需給調整(適正株価までの売り)されています。想定通りVolumeを見ても分かるように、マーケット開始時にはこの増資による希薄化を嫌った投資家が売りに回っているのがよく分かります。今後、発行価格決定日(6/23-26のいずれか)を過ぎ、決定日にかけて戻す展開も考えられます。
<楽天(4755)1年チャート>
今回のPOでポジティブな期待として捉えられている点がこの2つ。
・財務の安定化により、今後のM&Aなどの成長投資に対し機動的に動けるようにする
・資本の積み増しで格付け向上期待=今後の資金調達のしやすさへ繋げる
2010~2011年頃には既存投資家への株価の希薄化など意に介さず多数の公募増資が行われていました。当時は成長戦略というよりもネガティブな理由や目的での資金調達の方が圧倒的に多く、PO後には株価が値崩れを起こしていたのをよく覚えています。
さて、今回の楽天の増資(PO)は今年度では大型の部類に入るので、短期トレードの投資家がどのように判断するのか見ものです。
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