「ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配金)のパフォーマンス推移と原油価格&為替の関係」について
公開日:
:
最終更新日:2021/02/09
日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)やETF
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は、Q&Aへの回答です。
<Q.>(2016年9月)
「ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配型)を購入してますが、円高、ガソリン安で基準価額が下がる際は大きいのに、逆の場合は基準価額が上がるのが遅いのはなぜでしょうか?分配金額が大き過ぎるのが要因でしょうか?」
<A.>
「ダイワ高格付カナダドル債オープン(毎月分配金)のパフォーマンス推移と原油価格&為替の関係」について
お世話になります、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
ご質問にお答え致します。
まず◯◯さんのご質問を分かりやすく、1.)「為替&原油価格動向とファンド基準価額の上下推移との関連性」と 2.)「分配金額の大きさについての疑問」というように解釈してお答え致します(この解釈が間違っていれば申し訳ありません)。
さてまず大前提として、既にご確認されていると思いますがファンドの月次Factsheet(運用報告書)からご確認ください。
<ダイワ高格付カナダドル債オープン>
【基準価額】:4,445円(6/Sep/2016)
【純資産総額】:約3,252億円
【分配金累計額】:8,900円
【分配金/月々】:60円
2003年から13年間の運用期間において年間平均リターンは約2.2%(単純分配金込)で、月々の分配金(60円)のうちの70%部分は過去のリターンからの取り崩しになっているので基準価額の下落要因になり続けています(=全てが月々のリターンから出ている訳ではない)。
また、順調に続いている純資産総額の減少(=新規投資以上に解約増による解約金充当のため債券の無理な売却など)というのもファンドの運用上のネガティブ要因になっています。
その上で私が解釈した、
1.)「為替&原油価格動向とファンド基準価額の上下推移との関連性」
についてですが、
まず投資されている◯◯さんもご存知かと思いますが、もっか世界的には「原油安」というマーケット環境下にあります。
原油安の要因は様々ありますが大きく2点挙げておくと、1点目は「中国経済の減速傾向と原油依存の技術からの技術革新(例:ハイブリッド車や電気自動車の普及など)」、また2点目が「中東vs.米国のエネルギー分野を巡る政治的な駆け引きによる投機マネーの動き(原油vsシェールガス)」です。
それぞれの詳細はここでは割愛します。
そして次に為替推移として、
マーケットの傾向としては原油安になると原油生産に依存するカナダ経済(カナダドル)は下落します。つまり原油価格の下落によってUSD/CADは加ドル安/米ドル高になり、結果この投資信託(ミューチャル・ファンド)にとってはマイナス要因になっています。
また、上記チャートの様に対JPYの過去3年を見ても2014年にCAD/JPY=106円を付けてから、加ドル安/円高が進み(1加ドル=80円台)ファンドの収益を圧迫しています。
一方、短期的に「原油高(カナダドル高)+円安」となった場合に、『この投資信託(ミューチャル・ファンド)の基準価額が上昇しにくい(遅いのはなぜか?)』という疑問への回答について考えられるのは、そもそも投資信託(ミューチャル・ファンド)は短期的な上昇において短期的機動的に運用資金の多く(カナダ国債)を売買している訳ではないのが主な理由かと思います(つまり、その運用売買益や金利収入以上に為替差損やコスト高、売買損が続いているという意味)。
また、
2.)「分配金額の大きさについての疑問」
ですが、
<ファンドのポートフォリオ>
ファンドポートフォリオの保有債券の状況を確認すると、直接利回り(5.2%)、最終利回り(1.2%)という低水準にも関わらず上述の通り月々の分配金の70%部分は過去のファンドのリターンからの取り崩しを続けています。ポートフォリオの平均直接利回りが5%台ですが、結局年間平均リターンで2%台の低水準になっているのは、ファンドとして為替差損や債券償還差損が響いてしまっているのでしょう。
つまり、このファンドは今後債券売買益で十分なリターンを上げられないまま継続し、このままの水準で分配金を出し続ける場合には◯◯さんも懸念されているように、さらなる基準価額下落となってきます。
最後に、
正直この投資信託(ミューチャル・ファンド)は運用が上手い訳ではない上、この原油安の情勢や世界的な低金利(マイナス金利)が続くというマーケット背景を踏まえると、このファンドパフォーマンスには逆風の運用環境が続き当面、◯◯さんの純粋な資産運用リターンには結びつかないと思うので、お早めに「損切り」される方が良いと思います。
※『眞原郁哉の海外投資ブログ(頭と尻尾はくれてやれ(損切り、利益確定、スイッチング、リバランス) / 格言(響く言葉))』について
投資アドバイザー
眞原 郁哉
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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