ダイワ米国株主還元株ファンド
公開日:
:
最終更新日:2021/02/09
日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)やETF
国内ファンド解説
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は10/1-19まで大和証券から新規募集販売されている『ダイワ米国株主還元株ファンド』の情報です。相変わらず、大和証券もまだまだ積極的に投資信託(ミューチャルファンド)の新規募集販売をし続けています。
ファンドの特徴は、シンプルに1つ
・株主還元(つまり、自社株買いや配当)を積極的に行う米国企業の株式への投資
です。
デイトレーダーなどの株式売買を積極的にしている投機家はよく分かっている「株価上昇サイン」の1つとして「自社株買い」や「増配当」(=株主還元)があります。
実は2013年には同じように「配当」に注目して、「高配当」をテーマにした投資信託が三菱UFJモルガン・スタンレー証券から新規販売されていました。
※明治安田グローバル高配当株式ファンド(毎月決算型)/三菱UFJモルガン・スタンレー証券
上のファンドはグローバル企業(オーストラリア・米国を中心)の「高配当銘柄」へ投資している2013年から運用のファンドですが、2年経った今パフォーマンスは振るわず運用が実に下手なファンドというのが分かります。同じような「増配銘柄」や「高配当銘柄」を選定しているにも関わらず。
さて、今回の大和証券から販売される新規ファンドの内容の確認です。
「自社株買い」とは?
「自社株買い」というのは、マーケットで売買されている株式(発行済株式)をその会社が買うことになるので、マーケットで売買される株式総数が減少します。
株数が減るというのは(需給で考えれば希少性が増すことに繋がり)1株当たりの価値(EPS)が上昇と株主資本利益率(ROE)が向上するので、結果「株価上昇要因」として捉えられます。
例えば、純利益1,000万円、発行済株式数1,000株の企業の場合。
1株あたり純利益(EPS)は、1,000万円÷1,000株=「1万円」となります。
「自社株買い」によって500株を買った場合、純利益1,000万円、発行済株式数500株 となるので、
1株あたり純利益(EPS)は、1,000万円÷500株=「2万円」となります。
分かりやすい例で挙げましたが、発行済株式数の減少は1株当たりの純利益(EPS)を押し上げることに繋がります。
このファンドパフォーマンス・シミュレーション
青色:既存ファンドの実績及びシミュレーション 270.2
緑色:NASDAQ総合指数(配当込) 244.6
オレンジ:DAW工業株30種平均(配当込)208.5
グレー:MSCI米国指数(配当込) 202.9
青色の既存ファンドの実績及びシミュレーションでいうと9年間の年間平均リターンは約11.6%程度です。S&P500種の過去15年の年間平均リターンが10%程度なので、それより良いかなという推移です。
リスク・リターンがこちら
このようなファンドが販売される訳
ここは私見ですが「なぜ米国企業の多くが「自社株買い」や「増配当」を行うか?」について述べます。
そもそも米国企業の自社株買いの背景としては、2008年の金融危機(リーマン・ショック)後の多額の現金を蓄えた結果、その多くを自社株買いなどの株主還元に充てているからです。結果、株式数が減少し株価が支えられ、約6年間の株価上昇に寄与しています。
また例えば、米国Apple魅力的な商品(iPhoneやAppleWatchなど)をリリースし続けている背景としては手元資金を攻めの研究開発費に費やし、同時に株主還元として「自社株買い」を積極的に行っています。結果Apple株はヘッジファンド(オフショアファンド)マネージャーを始め、多くの安定株主に投資されています。きっとこのファンドのポートフォリオの組み入れ銘柄にも入ることでしょう。
※9/9はApple祭り!当然オフショアファンドマネージャーが要注視のイベント!/ヘッジファンド(オフショアファンド)情報
また、4月時点で米国企業の自社株買い枠は1,410億ドル(約16兆9,000億円)で2014年4月比較で121%増加、また2015年発表に自社株買いは1兆2,000億ドルに達し、2007年に記録した過去最高の8,630億ドルを遥かに突破してくるとの見方が圧倒的です。今後も米国企業株の上昇余地が大きいといというのが今回ファンド組成の理由でしょう。
では一方で、日本企業の場合は?という点を述べておくと、日本上場企業の2014年度末の「手元資金」は105兆円(対前年比+9%)となり過去10年で1.5倍になり、有利子負債よりも手元資金が多い「実質無借金企業」の割合が55%に上っています。つまり、日本企業は潤沢にキャッシュを抱えているという状況です。
それにも関わらず日本企業の場合、米国企業と比較すると株主還元への方法としての「配当増加」や株価上昇に寄与しやすい「自社株買い」を積極的に行っていない、要は「活用されていない資本」を蓄え続けている状況です。
電機企業(例えば、ソニーやパナソニック、東芝は不適切会計で全く信用なりませんが)は、ここ数年イノベーションを伴うような「開発」や「商品」をリリースできていません。つまり、十分に研究開発費への資本投下や攻めの投資が出来ていないのが事実です。
おまけ
最後に、過去自社株買いを積極的に行った米国企業を確認しましょう。必ずしも株価上昇に寄与した自社株買いばかりではありませんが参考になると思います。
2004年7月20日
マイクロソフト(金額:300億ドル・発行済み株式総数に対する割合:9.9%)
2005年1月28日
プロクター・アンド・ギャンブル(金額:200億ドル・発行済み株式総数に対する割合:14.9%)
2005年11月10日
インテル(金額250億ドル・発行済み株式総数に対する割合:16.5%)
2006年7月20日
マイクロソフト(金額:400億ドル・発行済み株式総数に対する割合:17.2%)
2007年6月19日
ホーム・デポ(金額:225億ドル・発行済み株式総数に対する割合:30%)
2007年8月3日
プロクター・アンド・ギャンブル(金額:300億ドル・発行済み株式総数に対する割合:15.1%)
2008年9月22日
マイクロソフト(金額:400億ドル・発行済み株式総数に対する割合:17.4%)
2013年4月23日
アップル(金額:500億ドル・発行済み株式総数に対する割合:13.1%)
2013年9月17日
マイクロソフト(金額:400億ドル・発行済み株式総数に対する割合:14.6%)
2014年4月23日
アップル(金額:300億ドル・発行済み株式総数に対する割合:6.6%)
2014年7月15日
インテル(200億ドル・発行済み株式総数に対する割合:12.7%)
2015年4月10日
ゼネラル・エレクトリック(500億ドル・発行済み株式総数に対する割合:19.3%)
どのタイミングで「自社株買い」や増配当されるかは分かりませんが、このような企業がある以上は、これらに直接投資するのも1つでしょうし、わざわざ今回のこの投資信託(ミューチャル・ファンド)に投資する必要があるのか?という疑問を抱きます。
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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