今年の本丸、日本郵政3社が11/4に同時上場で売出総額は1兆3,800億円!誰が為の上場か!
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最終更新日:2021/02/10
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
来るぞ来るぞと言われていました日本郵政グループ(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)の3社が11/4に東証上場するが決定しました。
この上場によって表向きは「政府の売出によって東日本大震災の復興財源へ充てる」ということになりますが、同時に小泉純一郎元首相が悲願だった郵政改革が完了することになります。政府は日本人個人から「投資という名目で国民からマネーを吸い上げる」ことに成功する訳で、個人投資家が儲かろうが損しようが関係ありません。また一方、上場を引き受けた幹事証券会社(野村證券を始め他の共同幹事証券)は引受手数料と株式の売買手数料が入るので絶対に「やらねばならない仕事」なのです
そもそも、この上場する3社は業績面で考えれば明らかに「劣る」企業ばかりなのです。それにも関わらず政府やマスコミ論調では「幅広く国民が保有出来る銘柄」「安定銘柄」「配当銘柄」などとポジティブに謳い煽っている感が否めません・・・。
仮にこのIPOに人気がなく「売りさばく株数が多い?」としても、「売り切れない」なんて言葉は、証券マンにはありません。
さぁ、誰が為の上場なのか・・・。
さて、条件などから確認します。
それぞれの上場条件(予定含む)
1.)日本郵政
仮条件決定日:10/7
売出価格決定日:10/26
上場日:11/4
売出株数:4億9,500万株
想定発行価格:1,350円
売出総額:6,682億5,000万円
上場時時価総額:6兆750億円
2.)ゆうちょ銀行
仮条件決定日:10/7
売出価格決定日:10/19
上場日:11/4
売出株数:4億1,244万2,300株
想定発行価格:1,400円
売出総額:5,774億1,922万円
上場時時価総額:6兆3,000億円
3.)かんほ生命保険
仮条件決定日:10/7
売出価格決定日:10/19
上場日:11/4
売出株数:6,600万株
想定発行価格:2,150円
売出総額:1,419億円
上場時時価総額:1兆2,900億円
全体としては1兆3,800億円〜4,000億円程度の規模でマーケットから資金調達をすることになりますが、この規模は1998年のNTTドコモの約2兆1,000億円以来の規模です。現在の東証の1日の売買代金が、ザックリ2兆5,000億円〜3兆8,000億円程度なので、そんなマーケットに1兆4,000億円を吸収しきれるのか?という疑問が湧いてきます。
そんな株式の大半を売りさばくは国内最大のリテール網(個人販売網)を持つ野村證券です。今回の上場の70%以上は個人投資家へ販売されることになり、機関投資家や外国人投資家への販売は限られています。なので「新規上場(IPO)は、プレミア感がある(希少性がある)」というのは違うので気を付けましょう。
IPO銘柄は儲かるという短期志向(投機家)
かつて(2014年もでしたが)、IPOはプラチナチケットという言葉が流行りました。
どうゆうことかと言えば、IPO(新規上場時)の株式を買った個人投資家の大半は、上場日の朝9時の寄り付きで売却する(初値売り)ということです。過去はそれだけ初値売が出来るほど良いマーケット環境だったというのがプラチナ(利を取れる)の由来です。基本的にIPOで中長期投資する個人投資家はほとんどいません。IPO価格で買って、寄り付き(初値)で売り抜ける、超短期投機です。
もちろん寄り付きでIPO価格を上回らなければ売り抜けられない(塩漬け)になるのですが・・・大体の野村マンであれば上場前の条件が出ている段階やそれまでのマーケット環境、売買動向、資金吸収額などを踏まえ「あぁ、この銘柄は売り抜けられるな」とか「厳しいな」とか想像がつくものです。(もちろん上場当日、蓋を開けてみなければ分からないという場合もありますが・・・。)
今回の郵政グループIPOは大型なので、ここで過去の大型IPOの上場時の状況を確認してみましょう。
・NTT(9432)
上場日:1987年2月9日
IPO価格:119万7,000円
公募株式総数:185万株
マーケットからの吸収金額:2兆2,145億円
・JR東日本(9020)
上場日:1993年10月26日
IPO価格:38万円
公募株式総数:250万株
マーケットからの吸収金額:9,500億円
・NTTドコモ(9437)
上場日:1998年10月22日
IPO価格:390円
公募株式総数:54万5000株
マーケットからの吸収金額:2兆1,255億円
・第一生命保険(8750)
上場日:2010年4月1日
IPO価格:14万円
公募株式総数:931万9,070株
マーケットからの吸収金額:7,131億円
・日本航空(9201)
上場日:2012年9月19日
IPO価格:3,790円
公募株式総数:1億7,500万株
マーケットからの吸収金額:6,633億円
特に野村證券のお客さんは、2010年の第一生命上場時に「高値を掴まされた!(今まで5年間我慢して持っていれば儲かっているでしょうけれど)」という人が多かったようなので、今回のIPOには慎重になっている人も多いのではないでしょうか。また、60代以上の方の場合(野村證券のお客さんに多い層)、『過去のNTTの亡霊』がついて回っている場合が多いと思います。「NTTは儲かった症候群」ですね・・・時は1987年のバブル時代真っ盛りと今のマーケット環境を同じと捉えるのは間違いってるので注意しましょう。
日本郵政グループの今後の展開(予定)
個人投資家であっても常々オフショアファンド(ヘッジファンド)や機関投資家のマネー動向に注目する必要があるのは、例えばこれらの銘柄が今後TOPIXや日経平均株価銘柄に組み入れられ乱高下する可能性を含むからです。常に個別銘柄のみならず株式指数を売買するプロ投資家の彼らの資金動向は注目する必要があります。
〜2015年〜
11/4 上場
11/5 制度信用銘柄選定(IPO当日初値形成した場合)
11月前半 4-9月中間決算発表
11/18頃 貸借銘柄選定(IPO当日初値形成した場合)
12/4頃 幹事証券レポート発行解禁
12/29 終値でTOPIX算出対象に
〜2016年〜
1/23 日本郵政設立10周年
1月下旬〜2月前半 第3四半期(4−12月)決算発表
4/20 郵政記念日(郵政制度開始から145年)
4/27 引け後、TOPIX調整係数解除銘柄発表
4月下旬〜5月前半 本決算発表
9/1 ゆうちょ銀行、かんぽ生命設立10周年
9月上旬 日経平均定期入替発表
9/30頃 日経平均採用の可能性??(第一生命はIPOから1年弱で組入)
日毎に株価が乱高下するマーケット環境の中、個人投資家が喜んでこれらのIPO銘柄に投資するのかはわかりませんが、大型銘柄に限って短期勝負の場合にはIPO損という歴史があるのを確認した方が良いでしょう・・・そして個人投資家が増えれば増えるほど(ステークホルダーが増えるほど)特にIPO後の売り圧力(初値売り)が大きくなるのは言うまでもありません。11/4以降は日本株式市況の流れが変わりそうな予感です。
非課税枠があるからというセールストークを切り口に「野村でNISA口座を活用して郵政グループへ投資しよう!」が合言葉でしょうか。
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