新聞記事は統計上のカラクリ!実質賃金上昇はある種のマヤカシである。
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最終更新日:2021/02/10
資産運用の基礎、Q&A、基礎用語
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こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は「投資と社会事情の関係」をトピックで上げました。
先週(6/2)に、厚生労働省から発表があった「4月の毎月勤労統計調査(速報値)」について。
このヘッドラインだけを見ると「お!賃金上昇してるんや」と錯覚しますよね。確かに増えているのは確かです、確かですがここに統計数字のカラクリがあります。2015年4月の実質賃金は「前年同月比プラス0.1%」です。
さて2014年4月を思い返すと、そうです!消費増税(5%→8%)がありましたよね。3%の消費増税によって物価が押し上げられ、結果的に実質賃金が大きく下落した月です。確認してみます。
<4月の毎月勤労統計調査(速報値)>
(出典:厚生労働省 4月の毎月勤労統計調査(速報値))
表の真ん中が「実質賃金」なので、ここの平成26年(2014年)4月を確認すると「−3.6%」となっています。その比に対して、2015年4月がプラス0.1%となり2年ぶりに増加したということです。
つまり、安倍政権誕生時(2013年4月)比較では、約3.5%実質賃金が減少しているということです。
そもそも実質賃金って何?
(恐らく、新聞記事の用語説明や大学の経済学基礎などで知っている人が多いはずですが)実質賃金と名目賃金の差が分からないとこのブログの内容もサッパリなのでここで記述します。
給与額面は「名目賃金」で、物価上昇率などを取っ払って手元に残るのが「実質賃金」と考えれば分かりやすいでしょう。
つまり、自由に使えるネットのお金です。の実質賃金は23ヶ月連続で下落していました。(表でマイナス表記されている通り)その大きな要因は「消費増税」「円安による輸入物価上昇に伴う値上げ」「原発停止による電気料金の上昇」などです。つまり、実質賃金が上昇していなかったにも関わらず出費が増加し続けているという現実がありました。
ベア(ベースアップ)やボーナス増加によって年収は増えるのでは?
名目上は増えるでしょう。ただ、実質で考えるとそうは思えません。というのも、今後さらに7月からまた様々なモノの値上げが予定されている点、また円安ドル高傾向の継続(つまりは物価上昇の継続)が考えられるからです。円の相対的価値は目減りし続ける一方です。家計簿などを付けている家庭では、本当に貯蓄が増えているかどうか確認してみても良いですね。
今後は?
まず日経平均株価の上昇(株高)と個人資産や個人所得が増加するのは決してイコールではないという事です。確かに経済は「雰囲気」で動く側面もあるので株高によって良い空気感があり消費行動が活発化し、企業業績が良くなり、賃金が増えるという一連のサイクルが続けば景気は拡大していきます。ただ足元では消費行動が活発だとはとてもいえる状況ではないでしょう。円安効果によるインバウンド消費(海外から来た外国人の日本での消費)に下支えされている感が否めません。
実質賃金が増加していかないことには、貯蓄や投資に回せる余裕は中々生まれてこないのが実情です。まして今後の継続的な円安ドル高傾向を踏まえると、なおさら円資産価値が目減りしていく一方です。景気動向はあるものの退職後資金(年金プラスアルファ)や子どもの教育資金など、先々から備えあれば憂いなしというのは間違いないので、コツコツとでも月々一定金額を貯蓄するまた、積立投資(円資産目減りを防ぐ上では海外積立投資)で蓄え、増やしていきたいものです。
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