資産運用は国家や会社と個人を切り離して考える必要がある(持株会の罠と通貨分散)
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資産運用の基礎、Q&A、基礎用語
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こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は資産運用の基礎について。
タイトルはズバリ『資産運用は国家や会社と個人を切り離して考える必要性』です。
日本人投資家に限らず個人投資家が必ず陥るバイアスがあります。
それは「知っているから大丈夫!(という錯覚)」「有名だから安心!(という主観)」「会社」が好きだから!(という主観)」など、主観をベースに国や企業と個人の資産運用を同一化するリスクです。もっと具体的に見てみましょう。
<6753 シャープ 1995年〜2015年株価推移>直近話題に上がっているシャープの株価推移(1995年から)です。
ちょうど黒線を引いているのが2007年代のリーマン・ショック前で高値圏(2,400円台)を付けていた頃です。それから約8年経過し2015年の直近では171円台と約8年で93%近く株価が下落しています。
仮に持株会をしていればどうなるのか?
大企業に多い「持株会」という制度。その企業に勤めている社員が、月々の給与からドルコスト平均法で一定金額を自社の株を購入し積立投資する方法です。社員は自社への愛着と共に頑張れば株価が上昇するという期待、一方企業側は安定した株主保有に繋がるという制度です。
それでは仮にシャープのような株価推移を会社に勤めていて毎月一定金額の「持株会」に投資しているとすればどうでしょうか?結果的に現時点ではドルコスト平均法も活用出来ず惨惨たることになっているということです。上のチャートで1995年に40歳の社員さんが持株会を通じて積立投資をし続け、2015年に退職したとするとドルコスト平均法の効果は無く、マイナスの持株会投資になっているでしょう。
私の古巣である野村證券(8604)の株価推移がこちら。
<8604 野村ホールディングス1995〜2015年チャート>直近は値上がり傾向ですが、シャープと同様に1995年から持株会をやっている社員さんは悲しい結果になっています。かつて、私が野村證券に勤めていた際に40代の課長が言っていた一言が非常に印象的で今でも覚えています。
「会社と自分の資産(つまりは持株会)を一緒にしたらアカンな。」
と・・・。
月々持株会で積立投資をしていても、実は持株自体はなかなか売れない(上司の承認など面倒な手続きが多い)、その結果、高値で売却できずマイナスになっているということがしばしばあります。今後もずっと株価が上昇し続けバブル期のような高値になっていくと信じていれば持株会制度は有益ですが、実際シャープや野村證券の例を見てそこまで強気でいられる社員の方が少ないのではないでしょうか。
株価が伸びている企業の持株会制度は有益?
かたや一方、株価が伸びている企業もあります。
<6098 リクルートホールディングス 2014年〜2015年>2014年10月に再上場したリクルートホールディングスです。緩やかにではあるものの右肩上がりに推移しています。このような会社での持株会は有益です。ただ「リスク分散」とう観点からシビアに考えると、リクルートもかつてはリクルート事件からダイエー参加に入った歴史があったりと、シャープ同様に社員が勤めている間に「何が起こるか不確定要素が大きい」というのはいつの時代でもあり得るので、このような右肩上がりの株価推移をしている企業の持株会でも決して安心はできません。
国や会社と個人の資産運用を分けて考えるとは?
勤めている会社に愛着や忠誠心を持つのは良いことです。同時に自分たちのビジネスが株価向上に寄与していると感じることも大事でしょう。ただ、資産運用運用の観点から考えると全くリスク分散になっていないハイリスクな状況にあるということが言えます。極端な例で言えば、持株会をしていたのにその勤続していた会社が倒産する、などです。
会社から給与を得て、その資金で持株会で資産運用をしている場合、仮に会社が倒産するもしくは業績悪化に伴い株価が大幅に落ち込むとなれば会社と心中することと同じです。
会社はあくまで会社であって(自分と同一視してはいけない)個人の資産運用とは別物です。
これは「日本」と「個人」も同じです。
1つの指標として為替推移を確認してみます。
<USD/JPY 1995-2015年為替チャート>為替は相対的価値なのでよりブレ幅が大きくなりますが、現在の為替推移で考えると「日本円」の価値が目減りしているという事実です。(ドル高円安)特に日本人の大半の資産内容はほとんどが円資産です。100%円資産だという人も多いのではないでしょうか。今後円安がさらに進む場合にはインフレになるので、国内において円で買えるモノが少なくなります。
円資産だけの場合「日本」と「個人」の資産が同一化されています。つまりリスク分散になっていないということ。円の価値が目減りしている円安ドル高の環境下において、そのリスクを分散させるためには「外貨保有率(主にUSD)」を高めるしかありません。
1ドル=125円台にさしかかり「円安になり過ぎている」という主観を持つ人が多いですが、そういう人は2011年に1ドル=80円台を割った時には「もっと円高にいくかもしれない」と考え外貨に転換できない人です。要は「マーケットの上げ下げに賭けているだけの思考」です。そうではなく、円高にふれても円安にふれても通貨分散をしてリスクヘッジをしているから資産を守れるという考え方が重要なのです。
国や会社と個人を切り分けるような資産運用方法は?
個人がすべき大事なことは、国や会社と個人資産は分けて考えるということです。
ドルコスト平均法を活用する持株会のような積立投資は小口から月々一定金額の投資ができるので中長期で有益です。そのように考えると為替のリスク分散を同時にできる海外積立投資という積立投資が最も理にかなっているのは間違いないでしょう。
まずが「何となく」という主観や思考停止状態を排除し、また国や会社との同一化を脱して切り離して考える事で、個人投資家は自分自身の資産のリスク分散に繋げていきましょう。
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