5年間で対ドル30%超の円安に!それはつまり1,000万円が700万円になったこと。円資産目減りを防ぐ方法は?
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最終更新日:2021/02/09
資産運用の基礎、Q&A、基礎用語
今回のブログ内容は「為替」について。
米国の力強い景気指標を反映して、USD/JPYで、7年10ヶ月ぶりの『円安ドル高』になっています。具体的に見て行きましょう。
<USD/JPY 5年為替チャート>
2010年5月からの為替推移です。チャートが上は「円安ドル高」、一方下は「円高ドル安」になります。海外旅行好きや貿易関連企業もしくはメーカーの海外事業に関わっている方には馴染み深いごく一般的なチャートです。
このチャートが意味していることは「日本人は2010年と比較して30%貧しくなった」ということです。(と言うと、ちょっと強引でしょうか?)
では、考えてみましょう。
2010年を1ドル=90円(チャート一番左端)、2015年を1ドル=120円(チャート一番右端)とし、1,000万円を持っていると仮定すると、
2010年には、1,000万円=USD111,111(1,000万/90円)
2015年には、1,000万円=USD 83,333(1,000万円/120円)
となり、米ドル換算すると「30%」、円の価値が米ドルに対して減少していることが分かりますね。つまり、外国で使えるマネーが減っているということです。これは国内にいる日本人全員に関わります。というのも同時に、輸入しているモノが上昇することに繋がるからです(輸入コスト増→最終商品に添加→消費者には実質値上げ)
逆に外国人からすれば、日本円の価値が30%割引なのでとにかく『日本のモノが安い!』となります。直近、外国人旅行客(インバウンド需要)が急激に高まっている背景は『為替』です。では、この5年間の間に日本のモノの価値(クオリティ)は、落ちましたか?答えは、ノーでしょう。同じクオリティもしくはよりクオリティが上がっているモノを、外国人は「30%割引で買える」状況になっています。
そうした中で残念ながら、日本人の多くが『資産』と考えているこれらの価値の目減りに気付いていません。
・銀行や郵貯の預貯金(JPY)
・日本の円建て投資信託(JPY)
・給与や年金(JPY)
・加入中の保険(JPY受け取り)
・持ち家や不動産や車(JPY)
景気回復や拡大、また実質賃金の伸びが無い中(23ヶ月連続で実質賃金は下落中)、単純に「円が安くなる」ということは直接的にであれ間接的にであれ「物価上昇(悪いインフレ)」に繋がっていきます。
それでは、これを資産運用の観点で考えると「外貨保有率を高めましょう」という結論になります。
例えば、上の例で、
2010年に1,000万円の半分の500万円を米ドルに変えておけば、500万円=USD55,555(500万円/90円)
残り500万円はJPYのままで2015年を迎えたとします。
2015年において日本円の500万円=USD41,666(500万円/120円)となり33%目減りですが、USD55,555はそのままです。むしろ円換算した場合USD55,555=660万円(USD55,555×120円)と33%増加になります。これが為替の分散リスクヘッジです。
為替推移を100%予測することは出来ませんが、通貨を「分散」させておくだけで為替の目減りを防ぐことができます。米ドルの金利が上がる前段階で現在のUSD/JPYレートなので、実際に利上げが始まると一段の「円安ドル高」は進む可能性が高いでしょう。となれば、日本円はさらに「目減り」していきます。
今の為替水準を「円安」と捉える側面もあるようですが、そう考える人は「上がる下がるのギャンブル思考」なだけで、為替の目減りのリスクヘッジは二の次の考え方です。「もう円安」「もう円高」という理由で外貨保有を遠ざける人は、2010年時点(1ドル=90)では「もっと円高になる」と思っていたでしょうし、1ドル=110円になった時点で「もう円安過ぎる」と思っていたことでしょう。
そういうギャンブル思考ではなくあくまでも円資産価値目減りを防ぐ上で、円資産ばかりもつ日本人は外貨保有比率を高める方が良いのです。また、単に外貨を保有するだけでも効果はあるものの、残念ながら外貨での運用先が乏しい日本国内の資産運用なので、海外(オフショア投資)で投資効率を高めることも忘れずにしておいて下さい。
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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