米ドル強し!豪ドルが2009年以来6年ぶりの対米ドル安値圏へ。豪ドル資産の利益確定をお忘れなく!
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最終更新日:2021/02/09
マーケット全般(株式、債券、為替)
こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
本日は「豪ドル関連資産に投資している投資家」への情報、かつ「これから日本円資産目減りリスクヘッジのために何の外貨を持てば良いの?」という投資家向けです。
5月時点で豪ドル動向や豪ドル資産についての情報を発信していますが、今回はそのアップデートです。
※『オーストラリアが利下げ(過去最低の2%へ)虚を突く為替変動!(豪ドル資産は大丈夫?)/為替』
日本人個人投資家にとって「かつて」は資産だった豪ドル(AUD)
<AUD/JPY 20年為替推移>
ちょうど6年前、1豪ドル=80円を付けていた頃を考えると、今の90円台前半というのは随分円安になって利益になっている投資家も多いことでしょう。(他通貨も全般的に円安なので豪ドルだけに限りませんが・・・。)
日本人投資家が大好き(各金融機関が力を入れて販売していたから)な豪ドルですが、その経済動向はここ数年で投資環境として大きくネガティブに変化しています。もともと通貨供給量が相対的に少ない豪ドルで好んで運用しているオフショアファンド(ヘッジファンド)は世界を見渡してもかなり限られているのですが、日本人個人投資家は銀行や証券会社で「豪ドル良いよ!」と刷り込まれているのでそういう投資信託などの保有率が極めて高いです。
・政策金利2%という過去最低水準
・中国経済失速懸念による豪ドル経済の弱さ
・資源価格下落(石炭、天然ガス)
・米国利上げ期待
AUD/JPY為替推移で見れば「イイ水準」という印象を持ちますが、金利が下がっている以上はここ数年の豪ドル建て債券も金利が付かず、かと言って、為替そのものに投資したとしても資源価格下落傾向によって「豪ドルが相対的に強い通貨」ではなくなっている現状です。
そんな中、7月上旬には中国本土A株市場の急落による中国経済の先行き懸念やそして上で述べた資源価格の下落と、7/8日には、対米ドルでは約6年ぶりの0.75米ドル割れ、対円では2月初来の90円割れになりました。そして今現状も米ドルでは6年ぶり安値圏に沈んでいるという状況です。
<USD/AUD 20年為替推移>
豪ドルが買われていた(投資家は買わされていた=セールストークとして使われていた)ポジティブ面の剥落
豪ドル投資信託、豪ドル債券、FXで豪ドルなど、様々な「豪ドル資産」が販売されてきた金融危機前後(リーマン・ショック前後)でしたが、理由がありました。
1.)高格付け
2.)相対的に高い金利
3.)資源高を受けて経済環境が良かった
今、これらの「買われる」理由が見事に剥落している状況です。
この中でまだ唯一守られている「高格付け」に関しても、7/24に格付会社S&Pからこのように指摘されています。
概況としては「豪州の予算環境が改善されない場合には、豪州の信用格付け(AAA)を引き下げる可能性がありますよ」ということ。仮に格下げされるとAAになるので米国債格付け(AA)と同じになる訳です。
となれば、多くの投資家行動(原則)としては「今後利上げ期待があって、尚且つ同じ格付けなら、米国資産(USD)を持とう」というのが合理的な判断になるのです。よって、チャートの通り豪ドル売り米ドル買い(豪ドル安米ドル高)に推移しているという状況ですね。
今後買われる通貨は、やはり米ドル
『米ドル強し!』
としか言いようがない環境になりつつあります。
対抗馬となるべき通貨であるEUR(ギリシャ債務危機は夏場まで持ち越し(次は8/20頃再燃?))は積極的に買えないハイリスク・ハイリターンになっているので先進国通貨で運用資金の待機先が相対的に見つからない上、今後の「金利上昇の追い風」を受けるので「米ドルに資金戻した方が合理的ですね〜!」となる訳です。
結果、USD/AUDで見ても、USD/JPYで見ても米ドル高継続という見方ができます。
為替なので相対比較ですが、米ドル資産を持たない個人投資家は「確実に、自国通貨資産目減り」を起こしています。特に日本人投資家(日本人)は「円資産が90%なので、真剣に通貨分散を考えないと、資産が相対的に減っているだけ」ですよ。
(併せて読みたい)※『FRBイエレン議長発言から考えると米国利上げは年内織り込みか?個人投資家は米ドル投資で「ドル高円安に備える」タイミング/為替』
豪ドルは、8/4に金融政策決定会合があるのでその見極めが重要ですが、「一段の下落余地あり」という見方があるので、豪ドル→米ドルへの資産シフトを真剣に考えておく時期に入っています。
(カバー写真:CNBC)
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オフショア投資とは:日本には入ってこない海外の金融商品に直接投資をすることをいいます。それらのファンドが主に税金のかからない国(オフショア)に登記されているのでオフショア投資と呼ばれています。
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