ハードブレグジットは不可避!英国のBrexitほぼ決定(EU離脱)まとめ
公開日:
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最終更新日:2021/02/09
気になるホットニュース(妄想・制度・規制)
こんにちは、投資アドバイザーの眞原です。
昨晩、英国のメイ首相がBrexit(英国のEU離脱に関する)方針を発表しました。
<英メイ首相>
(出典:REUTERS)
2016年6月のBrexit決定後(国民投票後)に想定されていたシナリオがこちら↓
※Brexit後に想定される英国10のシナリオ(プロセス)/マーケット(世界)
昨晩明らかになった、このBrexit離脱に向けた方針(シナリオ)+交渉の不透明感払拭についての総合的な説明です。
もっとも、メイ首相の説明でマーケットで明確になったのは、
英国がEU圏を離脱する際には単一市場からも撤退する
ということ。
これは、EU圏単一市場からの「完全離脱」を明示したことを意味しているので、英国が「中途半端にEUに留まること」は無くなったということ。
つまり、英国は独自に関税同盟などを模索しないと行けないということ。
当然、この発表を受けて、EU諸国側は反発を強めているのは事実です。なぜならEUの統率力やEUとしての優位性を維持したいEU側の主張としては、
EUや単一市場から離脱した方が残留するよりも良い状況というのを絶対に受け入れてはならない
ということだからです。
というのも、英国がEUから脱退(Brexit)することで、もし「EUを離脱するほうがメリット大きいよね!」ということになれば、現在のEU加盟国(27カ国)の中からも「よし、ウチも英国のようにEU離脱しようか!」という気運を引き起こしてしまうからです。
要は、Brexitを決めた英国だけに甘い顔をして「まぁ、いいよEUを抜けても!」というような措置を取ってしまうと、今後取り返しがつかない状況を生みかねない(EU圏の本格的な瓦解が始める)という危機感の現れです。
だから、EU各国は英国に対してBrexitをするならば「懲罰的な措置(例えば高関税を掛ける措置)を取るべきだ」という論調が強まっています。
そして英メイ首相がさらに主張しているのが「もしEU圏が英国に対して懲罰的な関税をかけるような措置を取るのであれば、英国は競争力を維持できるように法人税を引下げる可能性を示唆」しています。
これを言い換えれば、
英国をタックスヘイブン(オフショア)のような地域にしますよー!
という意味です。コレは非常に重要な発言と動向示唆です。
まさに今英国とEU圏の間で起こってているのは「歴史的な繋がりを踏まえた政治的な交渉、外交の火花」が散っているのです。
まとめると・・・
英メイ首相が主張した主な項目が、
・関税と摩擦のないEU圏との貿易を維持。一方でEU外諸国にEU圏と同じ関税を課す必要のない関税同盟
・EU外諸国と新たな貿易協定を交渉する自由
・新たな規則を時間をかけて段階的に導入できるように金融サービス業界やその他企業(自動車?)向けの移行のための取り決め
・EU予算への「巨額の」拠出の廃止
「単一市場へのアクセスをしない(完全離脱する)」ということが明確になったので、もともと英国政府はBrexitに対してノープランだろうと思われていたマーケット(特に為替市場)では「メイ首相の統率力や指導力に驚いた感(好感された)」がありました。
<GBP/USD 5日間チャート>

(出典:REUTERS)
<GBP/JPY 5日間チャート>

(同上)
昨日だけで見れば、英ポンド(GBP)が買われる展開になりました。既にGBPに投資している投資家にとっては今回の発表はプラスだったと言えます。
ただそれでも、まだ先物市場では依然「GBP売り」圧力が強いので、今後の本格的なBrexit事項が決まっていくとさらに通貨GBPのボラティリティは高くなる(ブレる)ことでしょう。
さて、実際の英国のEU圏離脱プロセスですが、現時点では3月末までに離脱プロセスを開始してEUとの合意を成立させる必要があります。
そして、交渉プロセスが完了する2019年序盤までに合意したい考えが示されました。
その後、「英国とEU機関および加盟各国が新しい取り決めに慣れる段階的な導入プロセス」を想定しています。
内容としては、
英国のいいとこ取り
という批判が相次ぐ説明だったので、今回の発表内容がそのままそっくり踏襲されるとは思えませんが、一先ず2年間の猶予があるので目先は交渉内容の情報次第で右往左往することになりそうですが、「ハードブレグジット(英国が単一市場へのアクセスを失う)」ことはほぼ確実になりました。
さぁ、オフショアファンドの聖地でもある英国とEU瓦解を防ぎたいEU圏、今後どうなることやら・・・。
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