アジア社債ファンド Aコース(為替ヘッジあり)〜資金流入増加の投資信託(ミューチャル・ファンド)〜
公開日:
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最終更新日:2021/02/09
日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)やETF
国内ファンド解説
こんにちは、投資アドバイザーの眞原です。
今回は日本の投資信託(ミューチャル・ファンド)情報。
中でも直近「資金流入」が多い投信です。
それは、三井住友信託銀行から販売され運用から4年が経過している「アジア社債ファンド Aコース(為替ヘッジあり)」。
何の変哲もない「アジア圏の国債や社債のパッケージの投資信託(ミューチャル・ファンド)」で、特にマーケット環境として「アジア社債良いよ!」という状況にもないにも関わらず、資金流入(=個人投資家で投資している人)が続いている状況です。
早速、ファンドの状況から確認していきましょう。
<アジア社債ファンド Aコース(為替ヘッジあり)>
【基準価額】8,615円(2016/10/18)
【純資産総額】174億円
【分配金累計額】2,250円
【分配金/月々】50円
資金流入が続いているとは言え4年前の設定開始後の200億円程度にはまだまだ及ばずですね(純資産総額:チャート青色の推移)。
4年間で運用し続けて分配金込の単純年間平均リターンは1.9%程度と低調です。
この投資信託(ミューチャル・ファンド)の特徴としてはこちら大きく1つ。
・アジア諸国(日本を除く)の米ドル建てBB+格付(以下もしくは無格付け)国債や社債への投資
具体的なファンドのポートフォリオの組み入れ銘柄構成を見ていくと、
<国別&業種別構>
国別には、中国+香港で50%超、他は環太平洋地域を含む東南アジア諸国、業種別は銀行、不動産、石油ガスなどが中心です。
気になる格付けが、
<格付別構成>
投機的格付け(BBB以上)が62%超、残り38%がBB以下の投機的格付けのハイリスク系で、平均的は「BBB」という構成のようです。
アジア諸国の債券(国債や社債)に投資しているのに “なぜ米ドル建て?”と不思議に思った個人投資家もいるかも知れません。
専門的な難しいことは置いておいて、実はこれらアジア諸国が債券を発行して資金調達をしている場合、ほぼ全てが「米ドル建て」で発行されていると認識しておきましょう(※基本的にハードカレンシー(国債決済通貨)建ての債券は米ドル建てという意味です)。
なので、このようなアジア債券への投資パッケージ(投資信託)においても、米ドル建てアジア債券への投資ということになります。
<米ドル建てアジア債券の利回りイメージ>
単純に米ドル建てアジア債券に投資しているとは言え、ファンドのリターンの源泉は大きく2つの要素から成り立っています。
1つは米国債の金利、そしてもう1つがアジア債券の発行元の信用力(=スプレッド)に応じた金利。
マーケットに不安要素が発生するとこのようなハイリスク系のアジア債券の信用力低下(スプレッド拡大=債券単価下落)となる一方、米国債が買われるのでそれぞれが補完しあってブレを小さくして運用されています。
そして、このAコースは為替ヘッジあり(為替変動の影響を受けにくいように)で運用しています。
具体的なポートフォリオ特性値がこちら、
<ポートフォリオ特性値>
最終利回りが3.66%ということですが単純年間平均リターン1.9%なので残念ですが運用が上手とは言えません(実際、このミューチャル・ファンドと参考指標比較でもリターンが劣っています)。
投資資産としてハイリスク・ハイリターンでも今後のアジア債券への投資は中長期では良いと思いますが(出来れば海外積立投資で月々積立投資しておいて良い資産の1つ)、結論として現状個人投資家はこの投資信託(ミューチャル・ファンド)よりも、運用広告書に記載されている参考指標(iShares J.P. Morgan USD Asia Credit Bond Index ETF)へ投資している方がコストも安くパフォーマンスも良いということですね。
ファンドへの資金流入が続いているので、三井住友信託銀行が見事な営業販売攻勢を掛けていることかと思います。
もし今後この投資信託(ミューチャル・ファンド)にどうしても投資したいということであれば、12月の米国利上げを考えるとこのAコース(為替ヘッジあり)よりもBコース(為替ヘッジなし)の方が良いのではないでしょうか。
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