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アゼルバイジャンが変動為替相場制に移行(通貨暴落へ備える為の通貨分散の重要性)

公開日: : 為替マーケット全般

こんにちは、K2 Investment 投資アドバイザーの眞原です。
今回は為替情報について。

個人投資家には恐らく地図上も分からないであろう馴染みの薄いアゼルバイジャン(旧ソ連第3位の原油生産国)という国の通貨(マナト)が暴落しています。地図上で言えば、カスピ海を望む赤色で囲われている国です。

アゼルバイジャンが変動為替相場制に移行(通貨分散の重要性)1

(出典:Google Map)

このアゼルバイジャンの通貨「マナト(AZN)」が対ドルで32%急落して市場最安値(1ドル=1.5375マナト)に下落、同国中銀が為替レートの管理を諦めた結果、変動為替相場制に移行しました。

「だからどうした?」と思った人も多いでしょうが、実は2016年以降、後々重要なニュースになってくる予感です。

というのも、このアゼルバイジャンが変動為替相場制に移行した主因は、11年ぶりの「原油安」です。「原油」は2015年後半から急激にマクロ経済や金融事情、資産運用をしている個人投資家にとって大きなテーマの1つになり、政治、経済あらゆる利権が絡むためです。

実は2月時点でアゼルバイジャンはマナトを通貨ペグ制(固定相場制)から通貨バスケット制に移行していましたが、12月のFRBの利上げによって、これ以上の買い支えは無理だと判断し変動為替相場性に移行したようです。脆弱な通貨は通貨切り下げを行ったり、為替制度そのもの自体を急激に無理に変更せざるを得ないという例です。

※米国の利上げ!ちょっと待った!まだドル高/円安で大事な資産を消耗してるの?/投資と社会事情の関係

「外貨準備高(外貨保有)」とは、各国中央銀行が対外債務の返済(主には米ドル建て)や輸入代金の決済、為替変動の急変動を防ぎ貿易を円滑にするために外貨を準備をしていることです(あくまで為替変動への準備)。

そして、この外貨準備が減少して不足する場合の対応策としては、

1.)対外債務により不足外貨の充当
2.)固定相場レート切り下げ(自国通貨安政策)
3.)固定相場制を放棄、変動相場制へ移行

の3つになってきます。

今回のアゼルバイジャンは2015年2月と12月の2回に分けて、上の2.)と3.)を行ったということになります。

そもそも外貨準備が減少している中で通貨安が進行していくと、ジワリジワリ国内では通貨安インフレになります(大雑把に言えば「輸入物価上昇=国内製品上昇」)。結果、徐々に貿易収支も国際収支も悪化、経常収支も悪化という悪循環になり、その国に住む国民生活に大きな経済的なダメージが生じてきます。これが急激に起こっているという状況ですね。

過去の例だと、通貨価値が紙切れ同様になっているジンバブエなどがそうですね。

※ジンバブエのハイパーインフレは5,000億%!貨幣が無価値になるハイパーインフレの怖さ。/財政問題

この急激な通貨安を防ぐ上で、中央銀行が外貨準備(米ドル)を用いて為替介入を行うことができますが、外貨準備を用いて為替介入をしても通貨安を食い止められなければ、単にこの外貨準備も減っていくことになります。

そして、外貨準備が減れば減るほどグローバル経済からは「オイオイ、あの国の経済大丈夫か?通貨の信用大丈夫か?」という信用不安が発生し、さらにはその国の「デフォルト危機」の状況繋がってくる、という最悪な状況になってきます。その国の国民生活は同様に最悪です。ですので、むしろデフォルトしてしまった方が(全員貧しくなった方が)良い場合もあるでしょう・・・。

さて、アゼルバイジャンの場合、変動相場制に移行することで自国の外貨準備の増強と競争力を向上させる意図を持っているそうです。

アゼルバイジャンも同様ですが、元々は「米ドルペグ」にして為替を管理相場でコントロールしていた国の自国通貨は実に脆弱な通貨です。それまで脆弱な通貨から突如として「変動相場制(マーケットの意志でレートが決まる)」に移行するので、国内では相当な経済ダメージ(通貨安継続)になります。

<USD/AZN 5年間チャート>

アゼルバイジャンが変動為替相場制に移行(通貨分散の重要性)2上方向が米ドル高アゼルバイジャン安。

2月に約30%の減価(通貨バスケット移行に伴うマナト安)、更に12月になって通貨バスケット制から変動為替相場制へ移行と約55%減価と完全に通貨安(通貨価値暴落)に見舞われています。過去アジア危機の際、タイの通貨バーツが暴落した時と同じような感じですね。

また、11年ぶりの原油安と米国利上げによって、通貨ペグ制を断念する国が相次いでいます(特に産油国に拡大中で、例えばカザフスタンのテンゲベトナムのドンも為替許容幅の拡大など)。このような「通貨安」から国民経済の不満や市場の歪みがどのような形になって2016年以降マーケットに反映されて、また政治的な動きとなって賑わせることになるのか?に要注目です。

また、よくよく考えれば日本の場合も、確かに日本の為替(JPY)も過去数年来で比較すると「対ドルで円安傾向」にあり、暴落とまでは言わないものの(もちろん日本円は変動為替相場制ですが)円安インフレという側面は見逃せません。私たちの国民生活にもネガティブな影響を与えています。

※7月も続々と食品の値上げラッシュ!家計負担の重しには要注意!/為替

為替は多くの人が予期せぬ動きを示すことがあるので、日本人個人投資家も反面教師としてこのような通貨危機に備える上でも、きちんと自国通貨以外に「通貨分散(USDやCHFなどを中心に)」をして資産を守っておく必要がありますね。



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  • 眞原郁哉

    1986年、兵庫県神戸市生まれ。

    同志社大学商学部(マクロ金融専攻)卒業後、野村證券入社。その後、K2 Investment株式会社入社。投資アドバイザーとしてクライアントのためになるアドバイスをできることにやりがいを持ってます。

    趣味はダンス、ネットサーフィン、珈琲。体育会系に見えて、実はインドアでもあったりします(笑)。

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